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労務
契約満了による退職は会社都合なのか。有期契約社員や派遣社員の失業時の手当について考える。

2020-10-22

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1.基本手当はいつから受け取れるのか?
まず、基本を押さえる必要があります。雇用保険被保険者で失業をした方が基本手当を受け取るためには、ハローワークに出向いて、求職の申し込みをする必要があります。
求職の申し込み後、7日間はどんな失業の理由であっても基本手当は支給されません。これを待期と言います。

その後は4週間に一度設定される失業認定日までの期間について、失業している状態であれば基本手当が支給されます。つまり、待期の後はすぐ基本手当を受け取れることが原則となります。

正当な理由の無い自己都合(または自己の重責解雇)による退職の場合、ここに3ヶ月の基本手当の不支給期間がつきます。これを給付制限と言います。介護や傷病による離職など、正当な理由があるケースは給付制限はつきません。
自身の意志による退職であるということは、その前に退職に向けた準備ができていたはずで、すぐに基本手当を支給するほどではない、ということになります。つまり、自己都合の方が例外なのです。

自己都合の方が例外ですので、契約期間や派遣期間の満了の場合、待期の後は基本手当の支給対象期間になります。


2.基本手当をいつまで受け取れるのか?
基本手当を受け取れる日数のことを所定給付日数と言います。 基本手当を受け取れる期間は原則として離職から1年間です(所定給付日数が330日ある場合は1年と30日、360日ある場合は1年と60日)。

もちろん、1年間毎日、基本手当が支給されるわけではありません。退職した時の状況により、給付可能な期間の中で、所定給付日数が変わってきます。

その中で一番所定給付日数が多いのは、いわゆる会社都合で退職をした方です。このような方を「特定受給資格者」と言います。特定受給資格者の中には、倒産や会社都合解雇の方の他に、実際の労働条件が労働条件通知書と異なっていたケースや、賃金が正当に支払われなかったケースなど、会社側に問題があってやむなく自己判断で退職した方を含みます。

つまり、特定受給資格者は、自身の責任の無い状態で突然退職を余儀なくされた方と言えるでしょう。このような方は退職後の準備ができていたはずもなく、だから受給期間も手厚いのです。

特定受給資格者の給付日数から抜粋

※補足 受給資格に係る離職日が2017年3月31日以前の場合の日数

次に、自身の体力の低下や住所変更など、正当な理由による自己都合退職者を「特定理由離職者」と言います。これらの方については、通常の自己都合退職など、一般的な受給資格者と給付日数は変わりません。

特定理由離職者、一般的な受給資格者の所定給付日数


ただし、特定理由離職者と一般的な受給資格者では、基本手当を受け取れる要件が変わってきます。
一般的な受給資格者が受給資格を得るためには、被保険者期間が12 か月以上(離職以前 2 年間)必要ですが、特定受給資格者と特定理由離職者の場合、被保険者期間が12か月以上(離職以前 2 年間)なくても6か月(離職以前1年間)以上で受給資格を得られます。
つまり、特定理由離職者とは、「受け取れる期間は普通の自己都合と変わらないけど、普通の自己都合より受給資格がちょっと緩い」ということになります。
特定受給資格者、特定理由離職者の詳細な要件はこちらをご覧ください。

最後に就職困難者(障害者など)は以下の通りです。


3.契約満了のときの所定給付日数とは?
では、契約満了時の所定給付日数はどうなるでしょうか。実は以下の要件によって、分かれていきます。
・通算の雇用期間が3年以上だったかどうか。
・契約開始前に契約満了後の契約更新の有無の通知があったかどうか。
・従業員から契約更新の希望があったかどうか。

表にすると以下のようになります。


※3年未満で契約更新の確約が無く、本人に更新する意志があって更新を行わなかった場合、特定理由離職者となりますが、給付日数については離職の日が2009年3月31日から2022年3月31日までの間にある方に限り、所定給付日数が特定受給資格者と同様となります。

有期雇用の派遣社員の場合は、派遣元との契約関係で考えます。
契約満了後、1ヶ月間経過しても仕事の紹介が無い場合は会社都合退職となり、1ヶ月間のうちに仕事の紹介があったが断ったケースは自己都合退職となります。ただし、契約社員や派遣社員の場合はケースバイケースによるところもありますので、実際に基本手当の申請をする際には、ハローワークに相談をしてください。


まとめ
いかがでしたでしょうか。

有期雇用契約社員、派遣社員における契約満了時の場合、基本手当については、原則
・「いつから受け取れるか」は会社都合と同じ。
・「いつまで受け取れるか」はその方の退職時の状況によって異なる。
と理解しておけば良いでしょう。

上記の判断については、主に会社から受け取る「離職票」が判断材料になりますが、離職票に記載されている内容が自分の本意と違う場合は、ハローワークにその旨を申し出てください。

基本手当を「いつから」「いつまで」受け取れるのかは、ご本人の転職活動、ひいてはライフワークに影響する話です。特に有期契約や派遣社員として働いている方は、今のうちに理解しておきましょう。

困ったこと、お悩みごとがあれば、お近くのハローワークまたは社会保険労務士にご相談ください。



村田社会保険労務士事務所
村田 淳 (社会保険労務士)

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