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労務
事業主がおさえるべき、雇用保険制度見直しの方向性

丸山 博美 (HM人事労務コンサルティング) 2020-01-09

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自己都合離職者の給付制限期間が3ヵ月⇒2ヵ月に
公開された資料によると、下記の通り明記されています。

‘特定受給資格者及び特定理由離職者以外の一般の受給資格者のうち、自己都合(正当理由なし)により離職した者に対しては、昭和59 年から現在に至るまで、3箇月間の給付制限期間が設定されているところである。これについて、安易な離職を防止するという給付制限の趣旨に留意しつつ、転職を試みる労働者が安心して再就職活動を行うことができるよう支援する観点から、その給付制限期間を5年間のうち2回までに限り2箇月に短縮する措置を試行することとし、その効果等を施行後2年を目途として検証するべきである。’


自己都合退職の場合の給付制限期間は、今後、現行の「3ヵ月間」を見直し、「給付制限期間を5年間のうち2回までに限り2ヵ月間」とされる措置が講じられる見込みです。

失業等給付受給のための被保険者期間は「日数」だけでなく「労働時間」も加味
併せて確認しておくべきは、失業等給付を受給するための被保険者期間の見直しについてです。
現状、
週の所定労働時間が 20 時間以上
雇用見込期間が 31 日以上である
などの要件を満たすことで雇用保険被保険者として適用されますが、一方で、失業等給付受給のための被保険者期間に算入されるのは、
賃金支払の基礎となった日数が 11 日以上である月
となっています。よって、週20時間勤務を満たしながらも月の労働日数が11日以上とならない場合、雇用保険被保険者でありながらも失業等給付を受けられないケースが問題視されています。

この点、資料には
‘「賃金支払の基礎となった日数が 11 日以上である月」の条件が満たせない場合でも、「当該月における労働時間が 80 時間以上」であることを満たす場合には算入できるようにするべきである’

である旨が盛り込まれています。

マルチジョブホルダーへの適用は今後要検討
前述の2点の他、複数の職場で就労することにより雇用保険が適用されるマルチジョブホルダーへのセーフティネットの必要性についても、現在検討されているとのことです。
現行の制度では、一つの就業先で月20時間以上勤務とならなければ雇用保険は適用されません。


また、S事業所とK事業所の2ヵ所で勤務し、S事業所で20時間を超えて働き、雇用保険適用対象となったとします。S事業所の退職後、K事業所で雇用保険被保険者となりえる形で維持されていれば、雇用保険制度の保険事故である「失業状態」には当たらず、給付は行われません。こうした点も、マルチジョブホルダー特有の課題となっています。今回の資料では、具体的な方針についての言及はありませんでしたが、今後の動向に注意する必要がありそうです。

まとめ
雇用保険制度の見直しについては、2020年度中の法案提出を目標に、さらなる議論が進められる見込みです。SHARES LABで最新情報をお知らせしていきますので、引き続きチェックされてください。


 
 HM人事労務コンサルティング
 丸山 博美 (社会保険労務士)