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働き方改革の背景で横行しうる「しわ寄せ問題」 対策は?

丸山 博美 (HM人事労務コンサルティング) 2019-07-11

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そもそも「しわ寄せ問題」とは?

働き方改革のメインテーマである「大企業を中心に働き方改革が進展する一方、中小零細事業者において深刻さを増す「しわ寄せ問題」。このたび、厚生労働省、公正取引委員会、中小企業庁の連携により「大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への『しわ寄せ』防止のための総合対策」(しわ寄せ防止総合対策)が策定されました。さっそく内容を確認しましょう。

長時間労働の是正」を実現するため、改正労働基準法施行により、大企業では2019年4月から「時間外労働の上限規制」が導入されました。
一方、中小企業等においては2020年4月まで上限規制導入が猶予されているため、働き方改革に対応しなければならない大企業の下請けとなる小規模企業にしわ寄せが生じ始めている様です。
具体的には、業務量の急増、短納期での発注、無理な人員派遣の要請等に関わる相談が、労基署や労働局窓口宛に増えてきているとのことです。こうした問題は、中小企業等における働き方改革の実現を阻害する要素となるため、早急な対応が求められます。


下請け事業者を守るしわ寄せ防止総合対策 4本の柱

下請け企業等に生じるしわ寄せ問題の増加を受け、厚⽣労働省・公正取引委員会・中⼩企業庁が中心となり、「しわ寄せ防止総合対策」を策定しました。本対策を元に、「働き⽅改⾰の推進」と「取引適正化」の一体的な推進が目指される見込みです。

「しわ寄せ防止総合対策」の柱は下記の4点です。



出典:中小企業庁「「大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への『しわ寄せ』防止のための総合対策」を策定しました ~厚生労働省・中小企業庁・公正取引委員会 が連携し、大企業等による「しわ寄せ」防止を徹底~」



今後「しわ寄せ事案」への対応が厳正化されます

上記④にもある通り、今後、大企業から下請け等事業者に対するしわ寄せについては、下請法違反事例として対応が強化される予定です。 このたび策定された「しわ寄せ防止総合対策」には、下記の通り明記されています。

✓ 労働時間等設定改善法に基づく重点的な要請等

労働局は、管内の大企業等を個別に訪ね、労働時間等設定改善法第2条第4項の取引上必要な配慮をするよう努めなければならないとする規定に関する要請等を重点的に実施する。

✓ 下請法等違反の疑いのある「しわ寄せ」事案に対する厳正な対応
公正取引委員会・中小企業庁は、下請法等の違反の疑いのある「しわ寄せ」事案の情報に接した場合には、当該事案に対して厳正に対応する。 後者の「厳正な対応」については、再発防止勧告や企業名公表などが想定されています。


まとめ

働き方改革の推進を目指す上で、「外部資源の活用」は有効な手段の一つと言えます。しかしながら、御社の働き方改革の実現が、他の企業の働き方改革の浸透を妨げることとなっていたとすれば、こうした状況は早期に是正されるべきです。下請け等を活用する企業においては、必要に応じて、現状の取引内容の見直しをされることをお勧めします。

 
 HM人事労務コンサルティング
 丸山 博美 (社会保険労務士)