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厚生年金へのパート適用拡大が、9月より本格的に検討開始されます

厚生年金へのパート適用拡大

丸山 博美 (HM人事労務コンサルティング) 2018-08-30

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すでに報道等でご存じの方も多いかもしれませんが、厚生年金に加入するパート労働者の適用対象を拡大する方向での議論が、来月より行われる予定です。政府は2020年の法案提出を目標としており、法案が成立すれば、最短で1年後の2021年にも施行される見込みです。

社会保険料は労使折半となることから、個人だけでなく会社にも大きな影響を及ぼす事項です。さっそく概要を確認していきましょう。

パート労働者への厚生年金適用要件、現状は?

ところで、「厚生年金の適用拡大って、つい最近にも行われなかったっけ?」と思われる方も少なくないかもしれません。それもそのはずで、短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大は、2016年、そして2017年と立て続けに行われています。

<2016年10月からの新たな適用対象>
勤務時間・勤務日数が、常時雇用者の3/4未満で、以下の①~⑤全ての要件に該当する方
① 週の所定労働時間が 20 時間以上あること
② 雇用期間が 1年以上見込まれること
③ 賃金の月額が 8.8 万円以上であること
④ 学生でないこと
⑤ 被保険者数が常時 501 人以上の企業に勤めていること


<2017年4月からの新たな適用対象>
次のア又はイに該当する、被保険者数が常時 500 人以下の事業所において、上記①~⑤全ての要件に該当する方
ア.労使合意に基づき申出をする法人・個人の事業所
イ.地方公共団体に属する事業所

※国に属する全ての事業所については平成 28 年 10 月から適用拡大を開始しています。

参考:日本年金機構「短時間労働者に対する厚生年金保険等の適用が拡大されています」

現状、「被保険者数が常時500人以下の法人・個人の事業所」においては、「労使の合意」の元、短時間労働者への適用拡大が行われます。よって、ここでご紹介した適用拡大の対象とならない会社も多いのではないでしょうか。しかしながら、政府は今後更なる厚生年金の適用拡大の実現に向け、9月にも検討会を設置し、本格的に議論を進めていく考えを明らかにしました。

 

改正ポイント①
厚生年金加入時の月収要件を「8.8万円以上から6.8万円以上」に引き下げ

短時間労働者への適用拡大が目指される中で、まず見直されるのが「月収要件」です。

◎ 賃金月額8.8万円 ⇒ 月額6.8万円

と、2万円の引き下げが検討されています。年収ベースでいうと、約106万円から約82万円へと要件が引き下げられる見込みです。保険料として毎月どの程度の支払が必要になるかは今後併せて議論されることになりますが、現状の保険料負担を鑑みれば、一人当たり概ね1万円弱(健康保険料・厚生年金保険料をあわせた折半額)を見積もるのが妥当といえそうです。


出典:全国健康保険協会「平成30年度保険料額表(平成30年4月分から)」

改正ポイント②
「従業員数要件」の引き下げ又は撤廃の可能性も

さらに、「企業規模要件」についても人数の引き下げ、もしくは撤廃される見通しとなっています。具体的なことは今後の議論の中で決定されますが、現状、対象外とされる会社にも適用が拡大される可能性は高いと言えます。

まとめ

今号では、速報として「短時間労働者等への厚生年金の適用拡大」の方向性についてご紹介しました。また新たな情報が入り次第、SHARES LABにてお伝えしますので、引き続きチェックをお願い致します。

 HM人事労務コンサルティング
 丸山 博美 (社会保険労務士)