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労務
小規模企業で行うべきメンタルヘルスケア

社員の「5月病」に要注意 !

丸山 博美 (HM人事労務コンサルティング) 2018-05-16

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5月病は「変化のあった人」に起こりやすい

この季節、「5月病」という言葉をよく耳にしますが、実際のところどのような病気なのでしょうか?

全国健康保険協会によると、「5月病」とは正式な医学用語ではなく、病院では「適応障害」「軽度のうつ」と診断される場合があるとのこと。特に、新社会人や異動・転職があった社会人など今春大きな変化を迎えた方が、環境の変化に伴う心身の負担、ストレスによってメンタルヘルス不調に陥ることを、総じて5月病とされているようです。

メンタルバランスを崩してしまうことで、心身にあらゆる影響が及ぼされます。職場においては、仕事に集中できなくなる、ミスが多くなる、出社が困難になるなどの症状が出てくるでしょう。















出典:
全国健康保険協会「未然に防ぐ5月病対策」

5月病の原因は様々であり、何かのきっかけで誰でもかかってしまう可能性があります。だからこそ、企業責任として、この時期、従業員の様子に特に配慮する必要があるのです。

メンタルヘルス不調者への対応の第一歩は「医師・保健師の活用」

御社に少しでも様子のおかしい従業員がいれば、早急に対応すべきです。まずは直属の上司などが本人の話を聞きいてあげるのも方法の一つですが、必要に応じて医師や保健師などの専門家との面談実施の段取りをしましょう。
対応に社外の専門家を交えることは、社内の人間よりも真実を話しやすい、専門的な観点から有効な指導を得られるなどのメリットが期待できます。 症状が重篤化する前に、早期に専門家を活用されることをお勧めします。

ちなみに労働安全衛生法では、時間外・休日労働時間数に応じ、医師による面接指導を実施するよう定められています。

① 時間外・休日労働時間が1月当たり100時間を超える労働者であって、申出を行ったものについては、医師による面接指導を確実に実施するものとする。

時間外・休日労働時間が1月当たり80時間を超える労働者であって、申出を行ったもの(1に該当する労働者を除く。)については、面接指導等を実施するよう努めるものとする。

時間外・休日労働時間が1月当たり100時間を超える労働者(1に該当する労働者を除く。)又は時間外・休日労働時間が2ないし6月の平均で1月当たり80時間を超える労働者については、医師による面接指導を実施するよう努めるものとする。

時間外・休日労働時間が1月当たり45時間を超える労働者で、健康への配慮が必要と認めた者については、面接指導等の措置を講ずることが望ましいものとする。



出典:厚生労働省「過重労働による健康障害防止のための総合対策」

上記の対応は、従業員数に関わらずどの企業においても必要です。過重労働による健康障害防止への取り組みは、今回の働き方改革の柱のひとつとされており、労基署の監督指導項目として近年指導件数が増えていますので、必ず対応できるようにしましょう。

ストレスチェック実施義務のない小規模企業ではどう取り組む?

とはいえ、ストレスチェック実施義務の対象とならない小規模企業においては、従業員のメンタルヘルス対策がどうしても遅れがちになります。実際にどのように取り組むのが得策なのでしょうか?

従業員数10名程度の小規模企業では、事業者と安全衛生推進者または衛生推進者(※)が主体となって、地域産業保健センター等の事業場外資源による支援を活用しながら可能な限りで体制作りをしていきましょう。

※参考:
厚生労働省「安全衛生推進者」














出典:厚生労働省「職場における心の健康づくり」 

常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場で、安全衛生推進者又は衛生推進者が決まっていない場合には、早急に選任しましょう。

まとめ

平成28年「労働安全衛生調査」(平成29年9月発表)によると、「現在の仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスになっていると感じる事柄がある労働者」の割合は59.5%にものぼることが明らかとなっています。


「うちの会社は大丈夫」と安易に考えるのではなく、メンタルヘルス不調予備軍は常に一定数存在することを前提に、対応を検討するのが得策です。

 著者紹介
 HM人事労務コンサルティング
 丸山 博美 (社会保険労務士)