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労務
平成29年度版『中小企業の賃金事情』が公開されました

社内の諸制度を整備しようとお考えの事業主様へ

丸山 博美 (HM人事労務コンサルティング) 2018-01-10

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新しい年を迎え、今年こそ、社内の諸制度を整備しようとお考えの事業主様もいらっしゃるのではないでしょうか。昨年末、東京都内に事業所を構える企業において賃金制度を検討する際に参考になる指標として、東京都産業労働局より『中小企業の賃金事情(平成29年版)』が公開されています。さっそく、そのポイントを確認していきましょう。


平成29年7月の全常用労働者平均賃金は、所定時間内賃金35万1957円、所定時間外賃金3万4617円の「計38万6574円」

本調査は、従業員数10~299名規模の都内中小企業997社から寄せられた有効回答を元に集計されたものです。調査結果では、賃金規定の有無や定期昇給の状況、賞与支給額、各種手当の支給額等、主に賃金に関わる都内中小企業の実態が明らかになっています。

あらゆるデータの中でもとりわけ関心を集めるのが「平均賃金」についての項目ですが、結果は下記の通りとなっています。


















出典:東京都産業労働局『中小企業の賃金事情(平成29年版)』
 

平成29年7月時点での全常用労働者の平均賃金について、所定時間内賃金35万1957円、所定時間外賃金3万4617円の合計38万6,574円(平均年齢41.9歳、平均勤続年数10.7年)という結果となりました。表には企業規模に応じた数字が記載されており、規模が大きくなるにつれて所定内外賃金が高額になっていることが分かります。

その他の資料からは、平均賃金の推移として2年連続で増加傾向にあることに加え、産業別・男女別の平均賃金の状況が公開されています。

 

大卒初任給のモデル賃金は「20万8223円」

また、学歴別・産業別の初任給の状況については、下記の通りとなっています。

























出典:東京都産業労働局『中小企業の賃金事情(平成29年版)』
 

調査産業計では、高卒で「18万422円」、大卒で「20万8223円」という結果となっています。大卒初任給で最も高額となったのが、金融保険業の「21万7642円」でした。

平成29年7月の所定外実労働時間平均は、男性「15時間37分」、女性「8時間34分」

中小企業において、労働時間の長時間化はいずれの会社においても目下の課題となっています。同調査では、都内中小企業における賃金状況と併せ、「労働時間」に関する結果も公開されているので、確認しておきましょう。
























出典:東京都産業労働局『中小企業の賃金事情(平成29年版)』
 

平成29年7月の所定外実労働時間平均は男性「15時間37分」、女性「8時間34分」となっており、その他産業別の状況は表の通りとなっています。時間外労働が最も多いのが「運輸・郵便業」であり、次いで男女ともに数字が大きいのが「情報通信業」であることが分かります。ただし、所定外実労働時間については男女とも20%超が「無回答」であり、実際の数字は公開されている結果とは異なる状況であることが予想されます。

 

まとめ

厚生労働省より毎年公開されている『賃金構造基本統計調査』は、大企業を含む調査結果となっているため、中小企業にとっては参考にしがたい点があるかと思います。今回ご紹介した『中小企業の賃金事情』は、都内企業のデータとはなりますが、中小企業における賃金制度の設計を検討する上では役に立つ部分が多いのではないかと感じます。何かと興味深いデータが満載ですので、ぜひ一度、目を通してみてください。

 著者紹介
 
HM人事労務コンサルティング
 丸山 博美 (社会保険労務士)