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労務
「労働者の有休年5日取得」が義務化へ

働き方改革に伴う関係法律

丸山 博美 (HM人事労務コンサルティング) 2017-11-15

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日本企業における有給休暇の取得率は、50%に届かず

厚生労働省の調査によれば、企業における年次有給休暇の取得率は、平成27年度で「48.7%」。この数字をさらに詳しく見ていくと、会社規模が小さくなればなるほど、取得率が低迷傾向となることも明らかになっています。

参照 : 厚生労働省「平成28年就労条件総合調査の概況」7ページ

御社においてはいかがでしょうか ? 
「法律上の制度として付与してはいるが、確かに消化が進んでいない」といった状況は、中小企業において決して珍しいものではありません。

「労働者に有給休暇を5日取得させること」は使用者の義務となります

ところが、働き方改革の推進を図る上では、今後、進まぬ有給休暇の取得状況にもメスが入ることになります。
先日公開された「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」では、年次有給休暇について下記の通り明記されています。

‘使用者は、年次有給休暇の日数が十日以上の労働者に対し、年次有給休暇のうち五日については、年次有給休暇の付与後、一年以内の期間に時季を定めることにより与えなければならないものとすること。’

そして、これに付随して、年次有給休暇の管理簿の作成も必要となります。

‘各労働者の年次有給休暇の取得状況を確実に把握するため、使用者は、年次有給休暇の管理簿を作成しなければならないものとすることを厚生労働省令で定めることとする。’

参照 : 労働政策審議会「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」7ページ

現段階においては未だ決定事項ではないものの、すでに数年前に発案されている内容であること、「第4次男女共同参画基本計画」における年次有給休暇取得率の目標値として「平成32年までに70%とする」旨が明記されていること等から、企業においては法案成立に向けた対応策を練っておく必要があります。

年次有給休暇の「買い上げ」は原則NGです

ところで、会社によっては「年次有給休暇を取得できなくとも、お金で解決しているから問題ない」とおっしゃる事業主様がいらっしゃいます。
しかしながら、年次有給休暇の買い上げは原則、認められるものではありません。

ただし、例外として、下記の例では買い上げが認められることになっています。

◇ 法定の付与日数を超える部分の買い上げ

◇ 退職までに消化できなかった部分の買い上げ

◇ 時効により権利が消滅してしまった部分の買い上げ

しかしながら、上記の場合でも、買い上げを前提とすることは適切ではありません。
極力取得してもらう方向で対応したが、やむを得ず消化できない部分が生じてしまった場合にのみ、労使の合意があって初めて、買い上げの処理をすることができます。

まとめ

中小企業における年次有給休暇に関しては、前項の「買い上げ」の例同様、付与日数や取得手続き等について、誤って理解・運用されているケースを散見します。

「年次有給休暇5日消化」への対応を検討することと併せて、今一度、年次有給休暇の基本的なルールを確認されてみてはいかがでしょうか ? 


 著者紹介
 HM人事労務コンサルティング
 丸山 博美 (社会保険労務士)