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経営者必見 ! 税務上の交際費について税理士が徹底解説

「税務上の交際費」について解説

田中 雅明 (田中雅明税理士事務所) 2017-10-18

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税務上の交際費とは


「交際費」といえば、お客様や取引先と飲み会で支出した費用(接待交際費)を指すと考えるのが、常識的な考え方だと思います。
しかし、税金(法人税)の世界でいう「交際費」というのは、かなり違う概念を持っています。

交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出する費用をいいます。 

税務上の交際費は飲食だけではない

さて、税金上の交際費の概念なのですが、飲み食いだけではありません。

例えば、自社の社名を入れたゴルフボールを作成し、取引先に渡した場合、「広告宣伝費」になりますが、取引先の社名を入れたゴルフボールであれば、「交際費」と言われてしまいます。

この違いは、自社の名前を入れるのは、自社の名前を広めたいという目的なので広告なのですが、相手方の名前を入れるというのは、「相手方の歓心をかうような行為」に該当するため、飲み食いと同じで交際費と判断されるわけです。これは、飲み食いがゴルフボールに形を変えただけだろうという根拠です。

POINT 交際費 = 相手方の歓心をかうような行為

交際費じゃない支出を交際費と指摘される場合がある

経営者として知っておいていただきたいのは、交際費ではない支出を交際費と指摘される可能性のあるケースです。
注意しておかなければ同じ支出でも、税務調査で交際費と指摘されるだけで、追徴税額が発生してしまう可能性があるのです。

交際費と混同しやすい支出は下記のようなものがありますが、全般的に知りたい場合は、国税庁のサイトからこちらをご覧ください。

参照 : 国税庁HP

「リベート(売上割戻し)」「情報提供料」「広告宣伝費」「福利厚生費」 このような支出がある場合は、交際費になる可能性があると考えてください。

POINT 交際費でない支出を、交際費と指摘されるだけで追徴税額が発生してしまう可能性がある

交際費と情報提供料の区分はどのように考えればよいのか

税務調査でよくモメる交際費との区分に、「情報提供料」があります。
簡単にいえば、顧客や案件を紹介してもらい、ビジネスが成立した場合に謝礼(キックバック・リベート)を支払うような場合です。

このような支出する業種としては、建築業・不動産業・保険代理店業を筆頭に、通常行われている行為といえます。 では、なぜこのような謝礼(情報提供料)が、交際費と指摘される可能性があるのでしょうか ? 
次の項目で確認していきましょう。

交際費は制度上どのようなものなのか

交際費は税制上どのようなものかというと、「相手方の歓心をかうような行為」、つまり相手方に対してお金を使うことで、相手が自分のことを気に入って仕事をまわしてくれるような行為に対する支出を指すわけです。

このように広く定義すると、情報提供料も特定の相手方に支出し、かつ相手の歓心をかうような行為と言えなくもない、というわけです。

そこで税制上は、下記3つの要件をすべて満たしている場合は、情報提供料として全額損金にしていい、裏を返せば、これらの要件を1つでも満たさなければ、交際費と判断するというルールを作っています。

租税特別措置法関係通達 61 の 4(1)-8
(1) その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること。
(2) 提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていること。
(3) その交付した金品の価額がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること。


さて、いかがでしょうか。実務の現場では、支払う相手方と締結した「契約書がない」、何に対する情報提供料なのか説明できる状態にない、などの問題が生じている場合が多いのです。
情報提供料は、ビジネスで必要であることを考えると、経費(損金)になって当然かと考えがちです。

しかし上記の要件を満たさないために、税務調査で交際費と指摘されるケースが多いのです。 

他社と比べて交際費が多額だという指摘を受けた場合

調査の現場で、「交際費が同業他社と比べて多額なので、半分にします。」という否認指摘を受けることがあります。これはどうなのでしょうか ? 

そもそも(接待)交際費は、同業他社と比べて多額なのであれば、本当に経費(損金)にならないのか、というポイントです。

法律では、法人における交際費をこのように定めています。

租税特別措置法第61条の4(交際費等の損金不算入)
3 第1項に規定する交際費等とは、「交際費」、「接待費」、「機密費」、「その他の費用」で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう。
つまり交際費とは、「法人が支出する経費」のうち、「接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」を指します。 ですから、個人的な支出は経費(損金)にならないのは当然として、法人が支出するものであって、それが取引先などを接待するものであれば、経費になるというわけです(ただし、損金になるための上限金額は設定されています)。 ここから明らかであるとおり、交際費は何も同業他社と比べて高いからダメというわけではないのです。では、なぜ調査官が同業他社と比べたがるかというと、役員報酬や役員退職金と話がごっちゃになっているからです。 役員報酬や役員退職金は、「法律的に」同業他社と比べて異常に高い場合には、損金にならないという規定があります。

法人税法施行令第70条(過大な役員給与の額)
内国法人が各事業年度においてその役員に対して支給した給与の額が、当該役員の職務の内容、その内国法人の収益及びその使用人に対する給与の支給の状況、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する給与の支給の状況等に照らし、当該役員の職務に対する対価として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額


交際費については同業他社と比べて多額であっても何ら問題ありませんから、調査官の誤った指摘にはきちんと反論しましょう。





 著者紹介
 田中雅明税理士事務所
 田中 雅明 (税理士)