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小売・流通 × イノベーションによる成長 「ハッピーサークル」の価値観共有で人材を育てる
リピーター比率の改善で利益が大幅に改善

リヴィジョン

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「心と体に優しい商品」をコンセプトに、海外ブランド雑貨を取り扱うウェブショップ「リココチ」。2013年にウェブショップを一新して以来、1日の売り上げにおけるリピーター数が全体の40%を占めるようになった。その結果、広告宣伝費用のダウンとともに効率的な費用の投下ができるようになり、収益は劇的に改善している。リピート数の改善は偶然ではない。ECサイト(ウェブ販売サイト)構築や画面のデザイン、さらには物流に至る全社員の価値観を一致させ、社員一人ひとりが自発的に考え、顧客の心を掴む取り組みを行ったことで初めて実現できた成果である。

順調な売り上げがもたらした「混沌」
 
「リココチ」の運営会社・株式会社リヴィジョンは、輸入商社であるグループ会社の滞留在庫をネット販売するために、2002年に創業した。当初はヤフーオークションや楽天市場での販売を中心に、芝刈り機やイルミネーションといった便利雑貨と呼ばれるジャンルの取り扱いが主だった。

その後、グループ会社が海外のコンフォートシューズ(履きやすく、体に良い靴)を扱い始めたことを機に、女性向けのファッション雑貨やへと商品が変わっていくことになった。商品の選定は長年の経験を持つグループ会社に任せ、自社は「ウェブショップの運営」に注力することができたことも幸いし、コンフォートシューズを中心に売り上げは伸びていた。

順調な売り上げにつれ、次第に取り扱い品目が増えていくのは必然であったかもしれない。様々な機能性を謳った多くのブランド靴を取り扱った結果、ナチュラルなイメージの靴にはナチュラルな書体、ダイエット効果のある靴にはそれらしいイメージのバナーが配置されるなど、ブランド数が増えれば増えるほど混沌としたサイトになっていった。

結果として、売り上げはある程度確保されるものの、各商品をアピールするためのコストは商品単位あたり増加することになり、利益率が次第に減少することになってしまう。

もちろん、サイト自体は、当時流行っていたエコを意識して、デザインは緑色を基調にし、丸文字のかわいらしいロゴやバナーを配するなど「統一感」を出すよう工夫していた。しかし、そうした見た目の統一感では、根本を変えることはできなかった。何よりも担当する社員自身が自分たちが作っているサイトの存在意義を見失っていた。


 エコでナチュラルなデザインと各商品とのギャップがあった、以前のECサイト









「見た目」ではなく、「何がしたいのか」という理念の統一
 
「当時は店舗としての世界観がなかった」と語るのは、ストアマネージャーの佐藤拓也氏。

「スタッフが、どんなコンセプトのもとで何をすればいいのか分からなくなっていった。あるのはただ商品が売れればいいという点のみ。要は〝芯"となるものがなかった」と当時を振り返って経営顧問の藤倉和実氏は語る。

折も折、新たに取り扱い商品として食品や生活雑貨が加わることとなり、サイトの統一感がさらに無くなりかねない状況に直面する。リニューアルは急務だった。

「サイトに世界観が必要」「スタッフに行動の規範となる〝芯"を持たせることは必要」と考えていた藤倉氏や佐藤氏がまず取り組んだのは、「どんなサイトを作るか」という議論ではなく、会社全体の経営戦略を見直し、会社が成長していく方ビジョン向性を見直すことだった。

さらにそうした作業を一部のスタッフだけで行うのではなく、現場の責任者を巻き込んで行ったことで、会社全体が大きく変革することになる。

そもそも社名であるリヴィジョン(RE-VISION)とは、「過去に失敗した経験を持つ者であっても、わが社で『もう一R度E』『展望や可VISION能性』を見つけて輝いて欲しいという想いを込めた社名」(藤倉氏)であることから、もう一度自分たちの想いを形にするにはどうするかという議論を重ね、そしてたどり着いた新たな経営理念が「ハッピーサークル」だった。
 


コンセプトの共有がスタッフの意識を変えた
 
「ハッピーサークル」とはどういう理念か。藤倉氏は「『他人を押しのけても自分が勝とう』というのではなく、取引先やお客様そして自分たち自身も含め関わる全ての人に喜んでいただいて、良い関係(サ輪ークル)を作ること」と説明する。

「例えば日本に進出を考える海外ブランドにとって、今後の展開はわが社に期待するところは大きいと思います。そうした海外の会社とわが社は言わば運命共同体です。私たちはその期待に応えるために懸命に取り組みます。しかしその前提として、そもそも取り扱う商材が、安全面や機能面で消費者にも必ず幸せになっていただけるような良い商品をきちんと売ることが大切なんだと。売上至上主義ではなく正しいことをしていこう」というのが「ハッピーサークル」という理念です。

 
 
ストアマネージャーの佐藤拓也氏は「コンセプトの再確認と共有によりマネージングが楽になった」と語る








自分たちが自信をもって提供できるウェブショップ
 
そして2013年、「ウェブショップに訪れるたびに新しい心地よさが見つかる」というコンセプトでオープンしたのが「リココチ」である。

ニューヨーク発の身体への優しさと収納力を兼ね備えた機能性バッグ、イギリス発の肌触りとクッション性にこだわったルームシューズ、丁寧に手作りされたアメリカ製のクラフトフードや、作家デザインによるマグカップなど、ウェブショップ「リココチ」には「衣食住」様々な分野で構成される海外ブランドの商品が並び、どれも消費者の身体にとって心地よく、かつできるだけ安全な素材や材料を使用していることを感じさせる。商品はみな「心と体に優しい」というコンセプトで貫かれ、ウェブショップを閲覧するだけで、その世界観を感じることができる。

実のところ、売り上げは2500万円~4000万円/月とリニューアル前後で大きな変化はない。だが、ショップ自体にファンが付いたことで、冒頭に記したようにリピーター比率は10%から40%へ。しかも、広告費の割合は年々下げている。つまり確実に利益が拡大している。

 
リココチ」HP。魅力的な商品を殺さないシンプルなデザイン

















目に見える変化が社員の意識を変えた
 
「今回の取り組みで、サイトのリニューアルそのものよりも、価値があったのはスタッフの意識の変化です。会社の理念やサイトのコンセプトが明確になったことで、それに従って自身で正しい判断が出来るようになり行動してくれるようになった」と佐藤氏は言う。

しかし、理念やコンセプトだけで有効なサイト運営ができるわけではない。そこには関わる社員全体の業務スキルや能力の向上は不可欠となる。

EC構築スキル、商品撮影やコピー作りのスキル、検索順位を上るスキル、HTML(WEBページを作成する技術)を書くスキルなど、各分野でスキルを高めていくことが必要だ。

更には、販売数や在庫数のデータ推移を見ることで、「自分たちはこの商品にどれだけ製作の時間を割くのか」という、これまでに無かった考え方も持つようになってきた。スタッフのこうした視野が広がれば、さらなる「売る」ための工夫が生まれてくる。

こうした状態を社内に作り出している最大のポイントが「定点観測」だという。売り上げのみならず、お客様のリピート率やリピーター数、メルマガを読んだお客様がクリックしてサイトに来てくださる率やそれぞれのサイトのアクセス数、物流単価や顧客満足度といった幾つもの指標を提出させ全体の週報を作ることを徹底している。

こうした生のデータから、二度目の購入に繋がっていない顧客の割合や数を知ったスタッフは、自ら次に送るメルマガの趣向を変えるといったアクションを起こすという。そしてその結果は即座に、「データ」として跳ね返り、また「注文」という成果になる。こうした環境に社員を置くことで、社員は自発的に考え、良いと思う事を試し、そして達成感や敗北感を得ることで「自分の現在の能力や可能性に気付く」という、社名に込められた想いの実現にも繋がっている。

現在、グループ会社には日本での販売を依頼されつつ、まだ眠っている海外ブランドが多数ある。「われわれが商品を取り扱い、取引先の海外ブランドに喜んでいただくためには、ただサイトに載せて販売するというのではなく、取引先やお客様、そして社員自らをも幸せにする『ハッピーサークル』を作る取り組みをすることで売り上げは自然と付いてくると考えています」(藤倉氏)。
 
リヴィジョン 経営顧問 藤倉和実
「個々の商品の魅力に依存するのではなく、『リココチ』ブランドでの顧客づくりを目指しています。そのためには現場の社員の自発性が不可欠です」









     
Company Profile
株式会社リヴィジョン
東京都豊島区目白4-31-22-B1
TEL 03-5988-9917
資本金 300万円/従業員 6人
「リココチ」HP
http://www.recocochi.com/
月刊ビジネスサミット2016年7月号特集より

 

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