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建築・建設・工事 × 強い組織づくり 左官職人に新しい人材育成の風
「見て習う」から「教える」へ

原田左官工業所

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職人の高齢化・減少に歯止めがかからない左官業界。60代の職人が中心となって動いているこの業界にとって、いま必要なのは、若手の育成と彼らを定着させる取り組みである。そんななか、原田左官工業所の「職人を育てる」モデリングという方法に注目が集まっている。

左官の概念を広げ、
仕事をトータルで請け負う


建物の壁や床、塀などを、鏝コテを使って塗り仕上げる仕事、左官。
昔ながらの職人気質なイメージが残るこの業界で、新たな取り組みに挑んでいるのが原田左官工業所(東京都文京区)だ。社長の原田宗亮氏は「私は職人ではないんです」と語る。創業は職人であった祖父の代。東京都田端で仲間の職人とはじめたのがきっかけだった。1972年に会社組織になり、父親がそれを継いだ。

まったく別の業界で営業職に就いていた原田氏が同社に入社したのは2000年(07年社長就任)。当時から純粋な左官の仕事は減少の傾向にあった。他の安価な素材が台頭し、左官の代わりになっていたからだ。原田氏の父親はそれを見こし、左官だけでなく鏝を使う仕事をトータルで請け負う体制を作っていた。原田氏がそれを継いだ。

父親の代では一般住宅が中心だったが、現在は店舗での仕事が多い。飲食店、居酒屋、アパレル系の店舗と扱うジャンルは幅広い。壁を塗る仕事だけでなく、ブロックを積んだり、タイルを貼ったりと、鏝を使う仕事全般を受けられるのが同社の強みだ。

「左官の仕事は減ってはいるものの、建築には必ず必要。いまの時代にあらためて見直されている部分もある」と原田氏。実際、スカイツリーや駅の構内にも左官の技術は用いられている。そういう情報を発信していくことも重要だと原田氏は言う。


2015年8月、本社ビル(東京都文京区)1階に
「SAKANLIBRARY(サカンライブラリー)」を開設。
多様な左官素材や塗り方などをサンプルとして展示。
この空間自体が同社のカタログとなっている




現代という時代に即した
新たな「職人の育て方」


全盛期には30万人いたと言われる左官職人も、現在では7万人を切るまでに減少している。職人の高齢化も顕著で、2010年の調査では、職人の平均年齢が約60歳。若手の採用、育成はいまや左官業界にとって、早急に解決しないとならない問題だ。だが、若い人はなかなか入ってこない。入ってきても「現場で見て覚える」という職人のやり方についていけずに辞めてしまうケースも多い。

原田氏の取り組みは、そういう若い人材に、技術を覚えるための練習時間を用意するというものだ。「練習するのは自分の時間にやるのが当たり前という考えを変えて、勤務時間に練習できるようにしたんです」(原田氏)。
 
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