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30万社が廃業危機にある

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世界に猛威を振るい続けている新型コロナウイルス。その勢いは止まるところを知らず、未だ収束の気配は見えない。どれほどの企業にどんな影響が出ているのか。コロナ禍における中小企業の動向について、国内外の企業情報を収集・リサーチする、東京商工リサーチの原田三寛氏に伺った。 ※本記事は10 月12 日に取材した内容をもとに作成しております。

コロナ禍で増える休廃業倒産は若干の減少
新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、私たちの生活は変容せざるを得なくなった。感染を避けるため、密閉、密集、密接といった、いわゆる「三密」を避け、人と一定の距離を保ちソーシャルディスタンスを守る「新しい生活様式」への切り替えが求められている。時差出勤やテレワークを導入する企業も増え、飲食店などでは、緊急事態宣言解除後、席と席との間を開け、一席おきに案内するなどの工夫をし、営業を再開している。一方、感染者拡大による活動制限が大きく影響したことで、閉店や休業、廃業を余儀なくされる企業も増えている。東京商工リサーチによると、2020年1月から8月までの休廃業・解散件数は3万5816件(図表1)だ。

「このままのペースでいけば、今年の休廃業・解散件数は5万件を超えると予想されます。恐らく、ここ20年で過去最多の数値になるでしょう」(原田氏)。過去20年で休廃業・解散件数が一番多かったのは、18年の4万6724件だ。19年は、政府が中小企業の事業承継に力を入れてきた成果もあってか、多少減少したものの、直近10年のトレンドとしては、少しずつ増えている傾向があった。 一方で、倒産件数をみてみると、20年1月から8月までに倒産した企業は5457件。昨年対比で0・2%減で、意外にも倒産件数は減っている。「コロナの影響で資金繰りに窮する中小企業を支援するため、給付金や返済スケジュールの特例リスケなど、様々な支援施策を繰り出してきたことが影響していると思われます」。 事業継続の意志がある経営者がそうした支援施策を活用することで、一時的に倒産を免れていると推測される。「当社では、20年2月から、コロナの影響を受けて破綻してしまったいわゆる『コロナ破綻』件数についても調査しています。月別のコロナ関連破綻件数は6月の103件をピークに減少傾向にあると思われたもの過去20年で休廃業・解散件数が一番多かったのは、18年の4万6724件だ。19年は、政府が中小企業の事業承継に力を入れてきた成果もあってか、多少減少したものの、直近10年のトレンドとしては、少しずつ増えている傾向があった。 一方で、倒産件数をみてみると、20年1月から8月までに倒産した企業は5457件。昨年対比で0・2%減で、意外にも倒産件数は減っている。「コロナの影響で資金繰りに窮する中小企業を支援するため、給付金や返済スケジュールの特例リスケなど、様々な支援施策を繰り出してきたことが影響していると思われます」。 事業継続の意志がある経営者がそうした支援施策を活用することで、一時的に倒産を免れていると推測される。「当社では、20年2月から、コロナの影響を受けて破綻してしまったいわゆる『コロナ破綻』件数についても調査しています。月別のコロナ関連破綻件数は6月の103件をピークに減少傾向にあると思われたものの、9月は100件(図表2)。10月もかなりの数になり、ここに来てまた増えてきているとみることもできます。コロナ禍が長引けば長引くほど、関連倒産や破綻は、上昇していくのではないかと考えられます」。



コロナ禍によって薄まる事業継続の意志
また、売上高の増減については、20年9月の売上高が、前年同月(19年9月)を割り込んだ中小企業は、80・2%。前月より0・9ポイント改善したものの、4月以降、6カ月連続で80%を超えている状況だ(図表3)。

「コロナ前の業績データを分析すると、『増収』、『減収』、『横ばい』の比率は、それぞれ5対4対1。つまり、コロナ以前の減収率は約4割だったんです。それが今年の4月から9月までの6カ月間、約8割の企業が減収していると答えています。コロナ以前と比べると、倍の企業で減収が続いている異常事態が起きているんです」。 売上が減れば利益が圧迫され赤字に転落する場合も少なくない。そう遠くない未来に、債務超過の恐れもある。コロナ危機は、これまでの経済危機と違い、いつ晴れるのか、先の見通しを立てることができない。減収が続くうえに回復の見通しも立たない状況は、経営者の事業継続意欲を減退させてしまう大きな要因だ。コロナ禍での廃業の増加は、そうした経営者たちの事業継続意欲の減退がもたらしている部分も多いと予想される。


コロナが収束しない場合廃業を選択せざるを得ない
今後の事業継続に関する見通しについて、東京商工リサーチがとった、「新型コロナウイルスに関するアンケート」を見ると、質問項目に「コロナが収束しなかったら廃業を検討する可能性はありますか?」という問いがある。この問いに対し、中小企業の約8・6%が、「廃業を検討する可能性がある」と答えている(図表4)。

このパーセンテージを日本の中小企業全体の数字に換算してみると30 万社を超える。「計算上では、廃業の危機に瀕している会社が30万社あると捉えることもできます」。 さらに、「廃業を検討する可能性がある」と答えた企業に検討時期を聞いたところ、44・26%もの中小企業が「1年以内」と答えている(図表5)。 

業種別に見ていくと、特に多いのが、「その他生活関連サービス業」で38・0%。ここには、旅行業や結婚式場、葬儀場などが入っている。次に「道路旅客運送業」、「飲食店」、「持ち帰り・配達飲食サービス業」と続く。トップ15業種のうち、一般個人向けのサービスを行っている業種が過半を占めており、人の移動を伴うものや、人が集まり「三密」が起きやすい業態に大きく影響が出ている。


生き甲斐を見つける工夫を
新型コロナウイルスが発生してから、もうすぐ1年。国の支援施策によって、辛うじて倒産を免れた企業も、コロナ収束の兆しが見えない限り、暗中模索の状態が続く。そうした状況に倦んだ経営者が、事業継続の気力を失い、手元にお金が残せるタイミングで廃業を選択しようとしている。中小企業の廃業が、コロナ禍の影響によって加速していることは間違いない。「また、社長が80歳を超えているのに、後継者が決まっていない会社が、現在2割を超えているという統計もあります」。 事業承継は、双方に準備が必要なため、最低5年はかかるという。すぐに後継者候補が見つかったとしても、80歳の社長が事業承継の準備を整える頃には85歳になる。経営者が高齢であればあるほど、事業承継は難しくなり、いずれ廃業を選択するか倒産を余儀無くされる企業が増えていくと想定される。「どんな支援があったとしても、高齢等の理由で廃業になる可能性の高い廃業予備軍の全てが承継先を見つけ出すことは難しいでしょう。承継先が見つからず、たたまざるをえない会社は、一定数出てくると思われます」。 とはいえ、中小企業の社長には、「会社そのものが生き甲斐」と考える人も多い。そういう人たちにとって、廃業は、生き甲斐の喪失に直結する。廃業した後の人生をどう歩んでいきたいか︱︱。単に先行きが見えないからと廃業を考える前に、「その後の人生」についても一考する必要があるかもしれない。 今後ワクチンが開発される等で、コロナに収束の兆しが見えてくれば、今展開されている支援施策が終了することも考えられる。事業を継続していきたいと考える経営者にとっては、豊富な支援施策が活用できる今、様々なトライアルにチャレンジできるチャンスであるともいえる。事業承継が可能な場合は、いかにスムーズに事業承継を行うのか、また、事業継続のモチベーションをどう維持していくのか、今こそ、経営手腕が問われる時でもあるだろう。



株式会社東京商工リサーチ
情報本部原田 三寛氏

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株式会社東京商工リサーチ
所在地 東京都千代田区大手町1-3-1 JAビル
T E L 03-6910-3111
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