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サービス・IT × 後継者による事業革新
あらゆる「困った」を解決し、顧客に選ばれる会社に

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当社は2009年創業。軽トラックを主体として物流サービスを行っています。運送、倉庫管理、入出庫、荷物一次預かりなど、配送に関するトータルサービスをしており、現在扱っている荷物は、26種類51品目です。私は高校卒業後、同業他社に勤めていました。しかしリーマンショックで仕事が激減。勢いのある会社でしたが、存続が難しくなりました。そんな時、「お前が新しい会社をやるならついて行く」と仲間に言われ、8人の共同体として当社を立ち上げることにしました。すぐに法人化をし、代表に就任。現在は従業員が9名。外注の専属ドライバーが4名。他にもアルバイトを雇い、全部で20名近くの会社です。

勤務先の経営難を機に仲間を率いて起業

蒲郡信用金庫さんの若手経営者育成講座、GNBC(がましんニュービジネスクラブ)に参加したのは、3年前。私自身ドライバーとしての経験は長かったものの、経営者としてはゼロからのスタートでした。起業後数年は、借り入れのバランスを見ながらお金を回すのに苦労をしました。最初は「売上の50万円を8人でどう分けたらいいか」と頭を悩ませたこともありました。また、馴染みのないものは避けられやすい保守的な土地柄で、創業時に前の会社から引き継いだ顧客は150 社中2社だけでした。

懐に入れば手厚く守ってくれますが、新規参入は厳しいものがあります。2年3年と通い続け、ようやく受注を取れた会社もあります。そのような必死な状態が5年間続き、ようやく経営も安定し、組織として会社を機能させることを考えるようになりました。そこで、経営計画を作り、頭の中には漠然と浮かんではいるものの、何から始めていいか分からないこともあり、GNBCに参加をしました。

社長という立場を重視し俯瞰して会社を見るように

受講後の変化として一番感じていることは、社長が社長としての時間を確保できるようになったことです。そして、まず考えたことは、自社の強みです。もともと軽貨物輸送業者全般を指す「赤帽」は、国鉄時代、赤いベレー帽をかぶった作業員が、乗客の荷物の積み下ろしを手伝ったことに由来しています。当社も、物流業とは『人の困っていることに対応できるサービス業』と考えています。個人や法人のお客さまに合わせた柔軟な対応をして、お客さまの「困った」に対応できることが強みだと考えています。例えば、当社では軽トラックの利点を活用し、主に最初のロットが少なく大型トラックを必要としていない段階の企業の定期便を担っています。


例えば、その日に愛知でピックアップした部品を滋賀まで運び、滋賀でできあがった製品を愛知に持ち帰り、翌日に納品をする対応もしています。最近では少なくなりましたが、朝に電話を受け、すぐに岡山や九州まで新幹線、飛行機、バスなどで公共交通機関を使って移動し、ハンドキャリーをすることもあります。自動車部品、雑貨、建設資材の他に食品も扱っており、農家さんをまわって生みたての卵を集荷し、加工場に配送し、製品になった加工食品を納品することもしています。これらすべて内容は違いますが、基本的にやっていることは同じであると思っています。県内にも同業他社はありますが、実質は個人事業主が集まった共同体的な会社が多く、当社のように規模の小さな会社は法人化はしていません。

ニッチなニーズを引き受けお困りごと解決の提案も

当社と同様の小規模の会社では、「冷凍しかやらない」というように、引き受ける荷物の種類を限定している会社もあります。いっぽう大手は、細かいロットではあまり引き受けません。当社はニッチなニーズをすべて引き受けることで、物流業界の「なんでも屋」となっているビジネスモデルが特徴で、強みでもあります。また、トラックで荷物を運ぶ仕事だけではなく、人だけを出し、現地の搬入作業や倉庫内での設置作業を請け負うこともしています。その中で、より効率的な作業が行えるように倉庫のレイアウト変更を提案するなど、さまざまな顧客の悩みに対して、提案営業もしています。どんな業界でも困っていることはたくさんあります。

当社では「運ぶ」をキーワードに、顧客に合わせたサービスを提供し、「はこび屋さんに断られちゃったら、他に頼むところがないよ」とまで言ってもらえるようになりました。企業の引っ越し、コピー機のような大型電気製品の搬入、小学校の新校舎建設による一時引っ越しなど、普段使っている軽トラックや協力会社の4トントラックで対応できるものであれば、応用や進化させることで、次々と新しいサービスを提供させてもらっています。

サービス業は、人が商品人財教育に力を入れる

一方、当社のサービスの要は「人財」です。従業員である人が商品と言ってもいいかもしれません。GNBCでは、他社との差別化をはかるために、一層の社員教育の必要性を感じました。業務では従業員同士が顔を合わせる機会がありません。仕事によって7時出社、8時出社、直行直帰などバラバラです。そこで会議室に従業員全員の写真とプロフィール、自己紹介を書いたものを貼り、新入社員がコミュニケーションのきっかけにできるようにしています。他にも月1回洗車の日を設け、午後に従業員だけで2時間のミーティングを行います。そこでは、事故防止のための対策や、自分たちが気になっているところについてグループディスカッションをしています。


従業員に指導をする時は、できるだけ具体的にかみ砕いた言い方で伝えるようにしています。例えば、「宅配便で荷物を届けに来たとき、感じのいい対応の配達員と、そうでない対応の配達員がいた。次に仕事を頼みたいのはどっち?」と、取るべき行動が具体的にイメージできるようにしています。また、経営理念は、今日も疲れたけれど、明日も頑張ろうと思えるようなこと、人の幸せを願うことが、自分の幸せにもつながり、家族の幸せにもつながることを目指し、「私たちに携わるすべての人の喜びをつなぎ、幸せを共有する企業を目指します」としています。しかし、これをそのまま社員が復唱するのではなく、この理念に対して自分が現場で感じること、自分の仕事や行動に移したことを具体的にミーティングで発表してもらっています。そして、理念に対する価値観を全員で共有し、方向性がずれていれば、そのたびに修正するようにしています。

サービスの質を向上させ価格競争はしない

他社に比べて、当社の価格は高くなっています。それは、他社が引き受けないようなサービスをしているというのもありますが、こうした社員教育の結果、サービスの質が向上し、日々信用を積み上げてきた結果だと思っています。そして、その従業員の生活を守るために、価格競争は絶対にしないようにしています。「これ以上下げると、従業員に給料を払えなくなるから」と、無理な値引きはしていません。会社の組織化と人材育成については、現在、私の仕事を3人ぐらいに分業して割りふれるようにしています。そして、できるだけ口を挟まず、黙ってフォローをするようにしています。しかし、社長の私自身が土台や器になって社員を支えるためには、その器を広くしないと、結果的にこぼれてしまいます。よく、会社は経営者の考えている状況以上にはならないと言われています。器を大きくするために、たくさん勉強してインプットとアウトプットを実践し、社内変革をしていきたいと考えています。

200人の会社を目指さず20人の会社を10社に増やす

今後は、当社の強みを生かしながら、分社化をするのが目標です。200人の会社を1社作るのではなく、20人の会社を10社作りたいと思っています。仕事は年間で2~3割が変わっていきます。今までの仕事が、5年10年続くということはまれです。燃料費が高くなり、配達をするのではなく、人だけ現場に行って作業をするなど、日々の状況が変わります。定期便があれば安定した収入になりますが、その定期便もいつ無くなるか分かりません。同じもので売り上げを続けることは、リスクでもあります。スポットの仕事であっても、それが毎日続くことで、継続した仕事を得ることができます。創業して10年を迎えましたが、今後も進化しながら、トータル物流サービスとして、顧客にメリットのある提案をしていきたいと思います。

はこび屋本舗株式会社
代表者 四郎丸 智哉氏


1976 年生まれ。医学部を目指していたが、紆余曲折あり目標を「社長になる」
ことに変更。営業の仕事を経て、好きだった物流の会社で働くことに。2009
年仲間と「はこび屋本舗」を立ち上げ代表に就任。



Company Profile
はこび屋本舗株式会社

所在地 愛知県豊川市赤坂町松本237
従業員数 9 名
http://www.hakobiyahonpo.jp/

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