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製造 × 後継者による事業革新
きめ細かいサービスと価格競争力で地域のNo.1総合印刷会社へ

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当社は1978年、私の父が創業しました。現在は従業員3名、アルバイト2名の会社ですが、印刷だけでなくオーダーメイド商品の提案もする、情報伝達に関する総合企業です。私は大学を卒業した2001年に入社しました。将来的には家業を継ぐ気持ちはありましたが、当初は他の企業へ就職し、社会勉強と修行をしようと考えていました。

印刷にとどまらない情報伝達の総合企業

大学では環境問題や中国経済を学んでおり、ゼミの先生を通じ中国の企業からの求人もありました。しかし大学3年生の頃、祖父の介護のため実家に戻ることが多くなり、祖父の他界後は父が興した土井印刷の手伝いをするようになりました。卒業後すぐに入社し、15年に専務に就任、18年に代表取締役社長に就任しました。東京、大阪などの大都市では、印刷業界は分業制で、デザイン、印刷、加工などいくつもの工程を、それぞれ別の会社が行いますが、地方では全行程を一つの会社で手掛けることが多くなります。弊社の商品アイテムは、名刺、本、パンフレット、伝票、封筒などが主力ですが、ロゴなどのデザイン作成から始まり、看板が必要な場合はその設置まで、当社がワンストップで行います。そのため屋外広告士という資格も取得しました。

若手経営者塾で、自社の強みを再確認

昨今は情報伝達の媒体も、紙から電子に移行する流れにあり、チラシやDMの需要が確実に減っていくのは目に見えています。危機感を抱き、16年に、きのくに信用金庫さんの若手経営者塾を受講しました。そこで学んだSWOT分析で、自社の強みを改めて確認することができました。まず、印刷関連のサービスをワンストップで提供できるのが、東京や大阪のような大都市の印刷会社にはない当社の強みです。最近では、お客様にオンラインで入稿してもらったデータを印刷する、ネット専門の印刷会社が増えていますが、オンライン入稿は、自分でデザインデータを作れて用紙なども適切に選べる、中級者以上のお客様向きのシステムです。印刷についての知識の少ない一般のお客様の場合、紙の厚さや色の出方がイメージしにくく、思い描いていた仕上がりにするのが難しい場合が多いのです。また、ネット専門の印刷会社では、印刷代金が安い分、選べる用紙の種類がかなり限定されていたり、注文の度ごとに紙質や色味が微妙に違ってしまったりなど、クオリティが安定していないという場合も少なくありません。



当社では、お客様と対面できめ細かく打ち合わせすることができ、それが強みです。お客様がその印刷物でどんな効果を期待しているのかを詳しくヒアリングすることで、アウトプットのクオリティを保ち、リピーターを生み出しています。同じチラシでも、大量に配布したいのか、高級感のあるものにして長期保存をしてもらいたいのかなどの目的の違いにより、用紙も印刷の種類も全く変わってくるのです。さらに他社との差別化をはかるために12年、MUD(メディア・ユニバーサル・デザイン)教育検定を取得しました。これは、老眼や白内障の中高年の方にもわかりやすい印刷物やデザインを制作できる資格です。また16年には、機密情報を正しく扱える、日本印刷個人情報保護体制の認定も受けました。

地域ギャップを利用して多くの案件を獲得

全国的に見ても業界の高齢化が進み廃業する印刷会社も増えていますが、当社では現在、厚生労働省や財務局など多くの官公庁から受注制作をしています。きっかけは、官公庁の案件から、大手印刷会社が撤退し始めたことでした。大都市の印刷会社にとっては、ニッチで小さい市場でメリットがないという判断だったのでしょうが、当社のような地元の中小企業にとっては、非常に魅力的な市場です。どうしても受注に結び付けたいと思いました。ちょうど若手経営者塾でランチェスター戦略を学んでいた頃で「勝つ時は、圧倒的に勝たないといけない」というNo.1戦略が頭に残っていました。そこで入札の際、損にならない範囲で入札価格をギリギリに下げて勝負に出たところ、他社に大きく差をつけて受注することができました。これらの実績から信頼を得たことで全国区への案件も受けられるようになりました。

地域に根ざした細やかなサービスを

若手経営者塾では、経営理念のブラッシュアップやSWOT分析の振り返りの他、異業種の経営者たちとの交流もできました。同じグループの仲間で、今でも定期的に飲み会を開き、意見交換をしています。当社の現在の課題は、人材の確保と定着です。そのためには、印刷業の3K的イメージを払拭し、従業員の会社への満足度を上げる必要があります。父の時代の経営方針は「薄利多売」でしたが、今の時代にその経営を続けても、従業員の負担が増えるばかりです。そこで創業以来のチャレンジ精神は守りつつ、「売上高よりも利益率重視」のビジネスモデルを目指しています。また、高齢化社会が進むなか、シニアのお客様にも気軽に利用してもらえるような店舗作りも考えています。最近では、JPQRといったキャッシュレス決算の導入も積極的に行っており
ます。今後も自社の強みを活かし、地域の総合印刷会社No.1へと向けて成長を目指していく所存です。

有限会社土井印刷
代表取締役社長 土井俊典氏


1979 年和歌山県生まれ。大学卒業後、2001 年土井印刷入社。専務を経て18年に代表取締役社長に就任。オーダーメイド商品ができる総合企業として、デザイン提案や商品活用など、印刷をトータルでアドバイスしている。

Company Profile
有限会社土井印刷

所在地 和歌山県和歌山市西浜768-9
T E L 073-431-4981
https://www.dips-doi.com

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