3分で読める「現場を変えた社長の一工夫」

ビジネスサミットOnline » 現場を変えた社長のひと工夫 » 「日々、挑戦」を合言葉に社員と想いを共有し成長を加速

建築・建設・工事 × 後継者による事業革新
「日々、挑戦」を合言葉に社員と想いを共有し成長を加速

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

当社は1921年創業。吉野桧ヒノキなどの木材の製材業からスタートしました。吉野産の杉や桧にこだわり、製材・乾燥・仕上げの全工程を自社で手がけられる一貫体制と、それによる低価格が強みです。今では年商5億円以上の木材メーカーに成長しました。

廃業の危機を救った

しかし2004年、会長だった祖父が突然他界した時は、社員は父を含め2名、1カ月の売り上げは60万円に過ぎませんでした。廃業の危機に瀕していましたが、当時私は大学生。何かできることはないか、お客様へ商品を直接お届けしたいという思いから、通販サイトをターゲットごとに三つ作成し、お客様が直接注文できるようにしました。それまで材木問屋だけだった顧客層が、一般消費者や、工務店、木材販売店、建設会社へと広がり、経営危機を脱しました。そして、大学卒業後の05年、当社に入社。本格的に会社再建へと挑戦しました。在学中に通販サイトを作成したことで、お客様のニーズをつかむことができた面もあり、年商も社員数も順調に増えていきました。

社員が次々と退社し経営理念の必要性を実感

しかし、売り上げは伸びたものの、仕事がきついと退職する社員も多く、社内の雰囲気は良いとはいえない状態でした。期待していた優秀な社員も退社してしまい「このままでは、社員が皆退職してしまい、会社を維持することができないのでは」という不安も生じました。「家業から企業に変革し、社内をまとめていかなくては」と考え始めた時期に、やましん若手経営塾のお誘いを受け、参加することにしました。経営塾に参加したことで、自分が顧客だけを見ていて、社員に関心を持っていなかったことに気付きました。社員を財産とは考えていなかったのです。

「黙って俺についてこい」ではなく「自分たちが何のために仕事をしているのか」という会社の方針を示し、社員との信頼関係を作るための、経営理念の必要性を痛感しました。そこで15~16社の会社を見学し、経営指針書や経営理念づくりの参考にさせてもらいました。作成には丸3年かかり、15年にやっと経営理念が完成しました。その後、社員の変化が実感できるようになりました。

以前は「会社や社長のために働くのが自分たちの仕事」と、どこか他人事だった社員たちが、「自分自身のために働くのが仕事」だと理解し、主体性を持って働く組織に転換することができました。その背景には、経営理念に掲げた「私達は全社員の豊かな生活を目指し続けます」という一文の影響が大きかったのではないかと考えています。



社員全員を巻き込み経営計画を作成

経営理念の効果に力づけられ、引き続き、経営指針(中期経営計画)を作成しました。
ところが、役員である私のトップダウンで決めた経営計画は社員の支持が得られず、再び社員がついてこないという窮地に。そこで、経営塾で学んだ「社員を巻き込む」という方法を取り入れ、社員と共に経営計画を作成することにしました。社員全員を集め、自社の強みを1人5個ずつ書き出してもらい、全員の意見をまとめて「短期」「中期」「長期」に達成すべき計画として整理し、経営計画を策定しました。すると、自分たちの意見を落とし込んだ経営計画に沿って働くことで、社員のモチベーションがアップ。以

前は指示がないと動けなかった社員が、自ら企画を出して実行できる、自律型組織になっていきました。その後も経営指針を毎年作成し、全社、各部門ごとの3カ年計画、役職ごとの役割、評価基準や就業規則などを社員とともに作成し、社内で共有するようにしています。

先祖からの恩恵を孫の世代へ引き継ぐ

現在の主力商品はフローリング材や天井板や棚板、階段などの造作材です。そこで、杉や桧などの木目や節、色の違いなどを実際に目で見て触ってもらえるように、気軽に立ち寄れるショールームを計画中です。また工場見学会や伐採ツアーなどの企画も進めています。工場スタッフも、お客様の顔を見て、誰がどのように使ってくれているのか考えることができるようになると期待しています。近年は学生のインターンシップ受け入れも実施しました。女子トイレ、女子休憩室、パウダールームも作り、女性社員も増えました。女性を含む全社員にやりがいを持ってもらい、気持ちよく働いてもらえるよう環境を整えるのが、経営者の仕事だと思っています。

現在の日本では残念ながら、後継者がいないために廃業寸前の製材所が増えています。そこで、こうした製材所とパートナーとして協力体制を築き、木材の切断など一部の業務をアウトソーシングする試みを始めました。木材切断の工程を協力工場でしてもらい、当社は受注・乾燥・品質管理に専念します。切断に必要な機械など設備投資をしなくても、事業を拡大することが可能になります。

将来的に「吉野エリア一帯の木材流通システムを確立する」という、ビジョンも制定しました。
木は、今日植えて1年後に出荷できるというものではありません。80年前、100 年前の先祖が木を植えて育ててくれた恵みをいただいて、現在の私たちが生活しています。木の文化を自分たちの世代で終わらせずに、次の世代まで続けていくためにも、木を活かして、地域を盛り上げていきたいと考えています。


吉田製材株式会社
専務取締役 吉田敦彦氏

1982 年奈良県生まれ。大学在学中に祖父が急逝し、会社が廃業の危機に。大学に通いながら会社のHP を作成し、通販サイトを運営。卒業後の2005 年に入社。入社前と比べて売上げを約10 倍に急伸させた。


Company Profile
吉田製材株式会社


所在地 奈良県桜井市吉備557
創業 1921 年
TEL 0744-42-2124

https://www.yoshidaseizai.co.jp

記事の絞込

■業種
■カテゴリー

業種

カテゴリー