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サービス・IT × 後継者による事業革新 経営者塾の受講者が語る
「日本一おしゃれな写真館」を目指し 心に寄り添うサービスでファンを獲得

株式会社イナバ写真館

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弊社が創業したのは、戦後間もない1946年。祖父が写真館をオープンしました。当時の写真は、晴れの日に需要が多い高級商材であったこともあり、経営は順調で、利益もかなり出ていました。 その後、母が二代目として事業を継承しましたが、徐々に一般向けのカメラが普及して写真が大衆的なものになり、写真館でプロに撮影してもらおうという人が少なくなりました。そこで当社はスタジオ事業を縮小し、DPE業に移行することで、業績を改善しました。

技術革新で打撃を受けてきた写真館というビジネスモデル

しかし2000年以降、今度はデジタルカメラの普及によって現像とプリントの需要が減り、業界全体が低迷傾向に陥ります。当社も毎月赤字で、業績悪化を辿る一方でした。当時、私は別の仕事をしていたため、そこまで自社の業績が悪いとは知りませんでした。

ある日母から「借金をしてでも会社を続けたい」と聞き「今、自分が戻らないとこの会社はつぶれてしまう」と、2008年に入社し実質的な経営に携わるようになりました。そして、16年、創業70周年を機に代表取締役に就任しました。

お客様との出会いから写真への使命感に目覚めた

自らの思いというよりも、母の思いで写真館の経営を手掛けるようになりましたが、大きく転機となるような2人のお客様との出会いがきっかけで、写真業という家業に使命感を持つようになりました。

お一人は、お子さんの撮影にいらした親御さんです。弊社は写真撮影の後、撮影した画像をプレゼンルームでスクリーンに映し出し、リラックスしてもらいながら現像する画像をセレクトしてもらいます。大画面でお子さんの成長を実感したお客様は、感動で涙をこらえていらっしゃいました。

もうお一人は、私が撮る写真が好きと言ってくださる常連客の方です。その方は持病の辛さから「もう生きていたくない」とまで思い詰めたそうなのですが、その時、リビングに飾ってあった、私が撮った写真が目に入り「生きよう」と思うことができたと語ってくれました。

こうした経験から、「写真は人の気持ちを動かし、心のケアやサポートができる、かけがえのない商品なのだ」と気付きました。写真館経営の可能性を感じた瞬間でした。そしてNLPという心理学の資格も取得しました。












二度にわたる経営塾参加で自社の価値を再認識できた

15年、おんしん未来創世塾3期生へのご案内をいただき、経営の勉強に関心があったことから、参加を即決しました。これまでもさまざまな勉強会に参加してきましたが、経営を体系的に学ぶのは初めてでした。

受講をきっかけに、自社の経営理念を定めました。しかし、経営に関する知識はインプットできたものの、経営計画に落とし込み、実行するにあたっては、今まで見えなかった課題も浮上しました。いかなる学びも復習が大事だと考え、4期も受講しました。

そして、弊社の使命は「撮影という体験を通じて、お客様の大切な思い出をより良いもの、より価値ある物とする“想い出づくりのお手伝い”である」ことを再認識しました。

更にValue(共通する価値観)も設定し、スタッフへの浸透を図りました。5期、6期には社員である妻と弟がそれぞれ参加し、社内の共通認識ができました。当社の価値をお客様にきちんと伝えられるようになり、年商は塾の受講前と比べ143%に伸び、社員数も倍以上に増えました。

講座の内容で最も印象に残り、自分自身に大きな変化をもたらしたことは、「誰に」「何を」「どのように」を日常的に考えるようになったことです。考え方の基本として、これが究極の答えだと感じています。キャンペーンのアイデアが浮かんだ時、事業計画を作成するときも、その対象として「誰を想定しているのか」、「その人たちが得られる価値は何か」を考えて行動するようになりました。

ビジネスチャンスを逃さぬために移転・拡大

また、当社ではプレゼンルームの他にも、撮影前に徹底したカウンセリングや事前打ち合わせをしています。そこが同業他社とは違う当社の強みです。しかしその一方でお客一組あたりの接客時間が長くなり、繁忙期には予約をお断りしなくてはならないケースも増えてきました。

そこで18年、本店を移転。大きな神社の門前という、写真館にとっては最高の立地です。弊社のある福津市は、少子化の進む日本では珍しく、若年層の世帯が増加している地域です。お宮参り、百日祝、七五三、入園・入学・卒業、成人式と、神社にいらっしゃるご家族連れの需要が、当社の移転・規模拡大の後押しをしてくれました。

また、「お客様に多くの衣装の中からお気に入りを選んでいただきたい」という思いから、着物のレンタルも導入しました。経費はかかりますが、まずは「イナバ写真館がいい」というファンを作れればと考えています。

営業戦略としては、継続的に顧客にアプローチをするために、2カ月に1度はDMで写真館便りを送り、SNSでのプロモーションも強化しています。写真業界は給与水準が低めですが、今後はスタッフが暮らしを心配せずに済むように、より高い給与で終身雇用できる会社を目指しています。

今後も写真技術はもちろん、お客様の心に寄り添うサービスをどうやって提供するかにフォーカスし、自社のValueを共有できる仲間を増やしていきたいと考えています。

 株式会社イナバ写真館
 代表取締役 吉田 弦矢氏

 1978年生まれ。他業界で働いた後、2008年、家業のイナバフォトスタジオに入社。
 マネージャーとして経営に携わり、16年、代表取締役に就任。
 フォトコンテストで多数の受賞経験がある。
 近年は経営・撮影テクニックに関する講演会活動も行っている。








Company Profile
株式会社イナバ写真館








所在地福岡県福津市宮司3-14-13
創業1946年
TEL0940-72-616
www.inabaphoto.com/

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