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サービス・IT × 後継者による事業革新 経営者塾の受講者が語る
社員と共に経営理念を作成し「自ら考え実行する社員」を育てる

株式会社うえもり

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弊社は1995年1月20日、姉が自宅を改修して、介護事業サービスを立ち上げたのが始まりです。元々の家業は西陣織の工房でしたが、父が機織りの仕事と掛け持ちで代表取締役に就任、姉が施設長となりました。創業当時は民間事業者の介護サービスは珍しく、弊社は介護事業所としては与謝野町で2番目。介護保険もない時代で全額実費のため、利用料は月額約30~35万円。利用者は富裕層に限られましたが、すぐに満所になりました。

民間事業者として、町の介護サービスの先駆けに

98年に機織工房を完全に辞め、認知症対応型のグループホームを開設。現在は、認知症専門の介護サービス事業所として、「グループホームふれあい」と、デイサービスセンター「介護ハウスうえもり」を経営しています。

私が入社したのは98年、グループホームの開設時です。大学卒業を控えており、別の会社に内定を頂いていましたが、思ったより早く事業が軌道に乗り、人手不足のため、現場で介護職をしながら、事務や経理を務めました。そして2015年、父の後を継ぎ、代表取締役に就任しました。

私は就任前から資金調達や通帳管理をし、職員のレベルアップのために外部から講師を呼んで研修会を実施するなど、実質的な経営に携わっていました。しかし、会社を引き継いでも、職員が自分を「社長」と呼ぶようになっただけで、会社は何ひとつ変わっていないことに気が付きました。

そこでまずは会社と自分自身を見つめ直すために、経営コンサルタントに相談し、経営理念を作ることにしました。それまでも「ケア理念」はありましたが、大きな柱となるような会社の指針がありませんでした。

社員とともに経営理念を作り自分も社員も成長

自身の思いや自社の強みなどをコンサルタントに伝えながら経営理念を作り始めましたが、どこか腑に落ちない部分があり、何度も練り直していました。また、研修会を開いていても、職員は受け身のままで、期待したように質を上げることができず、限界を感じていました。

そんな時、京都北都信用金庫さんのお誘いで「ほくと経営塾」に参加し、改めて経営理念の必要性を強く感じました。勉強会で他の参加者の経営理念を聞き、自分の会社に置き換えたらどうするかなどと考えることができました。

セカンドオピニオンではないですが、他者からの評価を受け、周りの視点を参考にすることで、自分自身を深く掘り下げることができました。その後、リーダー以上の社員4名の意見を取り入れ、社員と共通の価値観に基づいた、納得できる経営理念をようやく完成させることができました。

行動指針もリーダークラスのメンバーと共同で作成。その後、社員や職員を集めて発表会を行いました。私は自らの経営に対する思いを語り、マネージャーたちも仕事に対する思いを話しました。

すると職員からも、「社長が何を考えているか理解できた」「事務所の方向性が分かった」という声が上がりました。経営理念の作成を一緒に行うことで、リーダークラスのメンバーにも自覚や責任感が芽生え、大きな成長がありました。一般職員への声掛けを積極的に行い、相談にも乗るなど「みんなで頑張ろう」という雰囲気が生まれました。























自社だけでなく、介護業界全体のレベルアップを目指す

残念ながら、介護業界は離職率が高い業界です。仕事自体は日々ローテーションの単純作業。また、利用者の方は認知症のため、コミュニケーションが難しい面もあります。だからこそ、認知症の入所者様に対して、どういう気持ちで接していくかというベクトルを全社で統一し、全社員に経営理念として浸透させていく必要があります。

また、利用者様を支える仕事なのですから、職員同士も支え合わなくてはいけません。職員同士、お互いの事情を理解してサポートし合うようにし、介護業界では珍しく、定時出社・定時退社をほぼ100%達成しています。

さらに経営理念を浸透させるため、会社のロゴやキャッチフレーズを作成したところ、合同就職説明会で弊社に興味を持ってくれる人が増えてきました。今後は日々の細かい行動指針を作り、全社に浸透させていくことが目標です。

社員全員が共通の認識を持っていれば、何かあった場合も、社員個人で正しく判断・対応できます。「経営者は孤独である」とよく言われます。私自身もそう思ってきましたが、経営理念づくりを経てその認識が変わりました。

最初は自分の理念を一方的に社員に伝えていた面もあったのですが、経営者塾の学びによって自分が変わり、社員との共同作業で経営理念を作るうちに、社員の力を信じられるようになりました。それにより社員の意識も向上し、会社全体のレベルも引き上げることができました。

今後は事業を拡大するよりも、介護業界全体において、人材育成の一部を担えるような会社を目指しています。介護士を目指す人が、弊社で働きながら資格を取得する仕組みも検討中です。介護業界の仕事はきついと敬遠されがちですが、民間事業所の立ち上げ当初は、新事業に意欲を持つ人がたくさん集まってきました。

そういった熱い思いを持つ人々が、この業界を諦めて去っていかないよう、これからも介護事業を盛り上げていきたいと思います。

 株式会社うえもり

 代表取締役 植森 江助氏
 1976年、京都府生まれ。姉が「家庭的な介護」を目指し、
 自宅を改修して介護事業を創業。大学卒業後に入社し、
 介護の現場に携わりながら、経理や経営
などを担当する。
 2015年代表取締役社長に就任。









Company Profile
株式会社うえもり












所在地 京都府与謝郡与謝野町明石652-1
創業 1997年
TEL 0772-44-1010
従業員数 23名
資本金 1000万円
売上高 1億900万円
http://uemori201.com/

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