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小売・流通 × 強い組織づくり 後継者の他社修行体験
常識破りの食品スーパーで謙虚に「学ぶ」姿勢を伝える

株式会社エブリイ

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株式会社エブリイは、広島県福山市に本社を置く中堅の食品スーパーだ。18期連続の増収を続け、売上高は787億円(2018年6月期)に達する。この快進撃を実現したのは、第一に鮮度と個性を重視する店づくりであり、第二に、それを可能とする多角経営であるといえるだろう。現在三代目として戦略の立案と人事を担当する岡﨑浩樹社長に、今に活きる修業時代の教訓をうかがった。

業界の常識に捉われない発想で連続増収

株式会社エブリイは広島県、岡山県を中心に42店舗を展開する食品スーパー。同社は岡﨑浩樹氏の父親、岡﨑雅廣氏が代表を務める株式会社エブリイホーミイホールディングスの中核企業。グループにはそのほかに、外食や食材宅配会社、料亭など9社があり、中核のエブリイは18期連続増収を続けている。

好調要因の一つが、「鮮度・美味しさ」を追求した商品提供だ。たとえば青果・鮮魚に関しては、一般にスーパー経営では1人のバイヤーが数店舗分をまとめて買い付けるが、エブリイでは1店舗に1人ずつバイヤーがいる。それぞれが毎朝市場に出向き、その日一番の商品を目利きして仕入れるため、鮮度や美味しさはもちろん、各店それぞれの個性が出た、画一化ではない売場づくりをしている。

また、新鮮さの追求は、それだけではない。一般にスーパー経営では売上機会の損失を防ぐため、多少余分に仕入れ、欠品状態を作らないようにする。

「しかし、このスタイルでは新鮮な魚介類や野菜を提供することは難しく、さらに売れ残って廃棄することを考えた値段となるため、どうしても高くなってしまいます。そこで、エブリイでは、『鮮度、美味しさを守るための欠品ならかまわない』と徹底しているのです」。と岡﨑氏は語る。

この逆転の発想が消費者に高く支持され、平日も開店時から来店客が殺到する人気スーパーとなっているのだ。また、スーパーや居酒屋、料亭など、「食」に関わるグループの多様な販路態を活かし、食材の価値最大化にも挑戦している。

たとえば2015年から「漁船の一艘買い」を実施。一般に漁業では、水揚げの3割が商品として流通せず、廃棄されるという。自然相手では、市場の求める規格やロットに合わないものが、しばしば獲れるからだ。たとえばタイは人気魚だが、タイばかりが大量に獲れても引き取り手に困り、クルマエビのような高級食材も、1匹2匹では商品にならない。

これに対し、内容にかかわらず水揚げまるごと買い上げるのが「一艘買い」。瀬戸内海の漁業者と契約を進め、獲れたてで鮮度の良い魚を提供する。また、通常の販売ルートに乗らないものも総菜に加工したり、高級食材であればグループ内の料亭で調理して、付加価値をつけ、提供する。生産者からすれば安定収入が見込まれるうえ、廃棄ロスもなくなるため、人気魚も割安で提供できるのだ。農産物でもまったく同じことが行われており、消費者にとっても、新鮮かつ安価な食材が手に入るばかりか、日によって店頭に並ぶ商品が変わるため、買い物そのものの楽しさも感じられる。























どんな仕事からでも学ぶことがある

岡﨑氏は、この成功を先代や、弟である副社長・裕輔氏、そして商人魂あふれる社員みんなの工夫のお陰だと語るが、組織が急拡大するなかで、店舗ごとの個性を打ち出しつつ収益性を維持するというのは容易なことではない。岡﨑氏が今、社内の組織体制整備に力を注ぐのは、さらなる飛躍を期しての基礎固めである。

傍目には着実に進められてきた事業承継であるが、岡﨑氏によれば、先代から直接「継いでほしい」と言われたことはなかったようだ。祖父の急死により父がエブリイを継いだ翌年には、在阪の大学へ進学。以後4年間、家業の様子は把握できなかったが、就職活動の時期、父親に進路相談の電話をかけたのも、「いずれ家業に戻る」という思いからだった。

これに対し父は、あるコンサルティング会社の名を挙げ、「うちに来た営業マンがとんでもなく優秀な人材だったから、きっと面白い会社だぞ」と勧めてくれたという。会社説明会で当時の社長の話を聞いて衝撃を受けた。「企業家輩出機関」を標榜していた点にも大変魅力を感じ、この会社で経営を学び、成長したいと強く思った。3年をめどに広島に戻ると決め、また、入社後は先輩社員の助言を受け、営業部門への配属を希望した。

ここでの営業とは、ターゲットとする企業に電話をかけ、相手先にコンサルティングニーズがあれば訪問の約束をとるというもの。発掘された見込み先と面談を重ねる中で、さらなるニーズの聞き取りや提案を行い、最終的な成約に至る。岡﨑氏の最初の仕事は、同じ部署の先輩社員が訪問するためのアポを取ること。他の部署の新入社員の中には、アポ取りをせず、最初から訪問営業に出て行っているメンバーも多くいた。同期の仲間たちの中には数カ月も経たないうちに受注を自身で取ってくるメンバーもいた。

「そんな中、私は毎日200件の電話をかけて、5件のアポを取ることが目標。それでも目標が達成できない。夜、もう電話がかけられないという時間になると、今度は上司に1日の報告を……」。

電話営業そのものも嫌われがちな仕事だが、それにくさらず、岡﨑氏は誰よりも電話営業に向き合った。上司のアドバイスに従って、録音した自分のトークを聞き直したり、電話の向こうに手鏡を立て笑顔を絶やさないよう工夫したりした。当時の上司が厳しくも温かく熱意を持って指導をしてくれた。

「1年続けると怖いもので、リストを見ただけで、この会社はアポが取れそうかどうか、わかるようになってきたんです。『この会社は業種がこれで、社長さんが何歳だから、この切り口で、こういう話をしたほうがいいぞ』と。電話一つにここまで工夫できる……。どんな仕事からでも学べるものだなあ、と思いました」。

一点に集中してきたからこそ、身につけた力だった。スタートダッシュが遅れた分、工夫を重ね、確実に力をつけて前進するという仕事の基礎が、身についていた。以後、様々な経営理論や手法を学ぶことになるが、最も印象的であり、かつ現在の経営にも活かされているのはこの時の体験だったという。毎日、終電まで忙しく働いていたが、とてもやりがいがあって自分の成長を実感できる日々だった。

その後、めきめきと力を伸ばし、瞬く間に大勢の部下を抱えるようになった。自分が確実に成長しているという実感に、3年をめどに広島に帰るはずだった予定は6年にまで延びた。結婚を機に帰郷。当時、エブリイはまだ7店舗だった。その後、拡大を続けていくなかで岡﨑氏が、社員たちに伝え続けているのが、謙虚に学ぶ姿勢だ。

「スーパーにはたくさんの仕事があり、それぞれの売り場が主体的に取り組めば改善すべき点はいくらでも見えてきます。ただ、なかには『これって意味あるのかな?』と思う仕事もあるでしょう。そう思った瞬間に、楽しさが失われてしまいます。そうじゃなく、どんな仕事でも必ず何か得られるものがあるから、まずやってみよう、そして何か一つでいいから、一番になるまでやってみようよ、そう社員たちに伝えています」。



















優秀であるよりも可愛がられる人に

目指すは、他に類のない、オンリーワンのスーパーマーケット。そのためにもう一点、岡﨑氏が組織づくりにおいて留意しているのが、「フォロワーシップ」だ。

チームを率いるリーダーシップとは逆の概念で、リーダーに応じてチームを支え、押し上げる力である。前職の上司から研修で教わった発想だ。が、岡﨑氏の「フォロワーシップ」には、その前提となる良好な人間関係をチーム内に醸成する力も含まれている。

「前職の同期には優秀な人材がたくさんいました。多くの人が成功していますが、成功しているかどうかは、当時優秀であったとか優秀でなかったということ以上に、「当たり前」のことがきちんと「出来る」人だったような気がするのです。たとえば、『指導してもらった時にきちんとメモを取って実践が出来る』『お礼が言える』『人よりも先に挨拶できる人』や『ご馳走になったらその日のうちにメールを送って、翌朝もう一度お礼を伝える』。そういう、誰からも可愛がられる人が結果的に成功しているような気がします」。

相容れない部分もある。前職では、チャレンジングな数値目標を設定し、プレッシャーのなかで各人のブレイクスルーを求める手法がとられていた。うまくはまれば社員の力を大きく伸ばすが、長時間労働になりがちで、離職率も低くない。対してエブリイでは、無理なノルマ設定やミスの指摘は行わず、成果が上がった点に注目することで、社員のモチベーションを高めている。

先代からの方針で、これが闊達な社風を生み、店舗ごとの工夫の源泉となる。将来的には正社員も含め、従業員の子どもたちが自然に「エブリイに入りたい」と思ってもらえるような状況を作りたい。結果的に採用コストをカットし、そして、地球でトップクラスの給与水準に引き上げ、社員の皆がより一層誇りが持てるような環境を作りたい、と岡﨑氏の夢はさらに広がっている。









 株式会社エブリイ
 代表取締役社長 岡﨑 浩樹 氏


 1979年広島県生まれ。
 2001年関西学院大学卒業後、当時、東証一部上場の
 FCコンサルティング会社、株式会社ベンチャー・
 リンクに入社。2005年同社関東支店長。
 2007年エブリイに入社。
 2016年1月代表取締役社長に就任。





他社での経験を活かすポイント

●事業承継を視野に、役立ちそうな業種・職種を選択する
●どんな仕事においても工夫を積み重ね、その効果を検証し続けるという学びの姿勢を身につける
●時間を割いて指導してくれる上司や先輩への感謝を忘れない


Company Profile
株式会社エブリイ
本社 広島県福山市南蔵王町1-6-11
TEL 084-931-4710
創立 1989年
資本金 3000万円
売上高 787億円
従業員数 4042名
https://www.super-every.co.jp/

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