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製造 × 後継者による事業革新 経営者塾の受講者が語る
「100年続く企業」を目指し、中継ぎ経営者として挑戦し続ける

株式会社早和果樹園

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当社は和歌山県有田市にある地域のみかん専業農家7戸が集まり、1979年に早和共撰を創業したことに始まります。2000年、有限会社早和果樹園を設立し、2005年に株式会社に組織変更。昨年、父である前社長の後を継ぎ、二代目代表取締役として就任しました。

わずか7戸のみかん農家組合からスタート

当初は築地や地方の市場にみかんを出荷する小さな組合でしたが、7戸の農家のうち、私を含む4人の後継者が就農しました。4人の後継者が、生産部長、製造部長、営業部長、総務部長と横一線で取締役に就任。専務時代に、次期社長に私がなることが決まり、きのくに信用金庫さんのお誘いもあり、若手経営者養成講座に参加しました。

私はそれまでも商工会議所青年部等の役員を務め、経営に関する本も読んでいたので、講座で学ぶ内容は、知識としてはなんとなく知っていました。しかし、経営に関することは、知識だけでは役に立たず、何度も繰り返し聞いて腹落ちしていくものです。講座は自社の経営や経営理念を見直すきっかけにもなりました。ディスカッションでは事業のヒントをもらうことができ、終了後も、定期的に集まって語り合える経営者仲間ができた点もよかったです。

生産・加工・販売を全て行う

6次産業のモデルに転換早和果樹園では、質、量ともに日本一であるみかんブランド「有田みかん」の生産、みかん加工品の製造、販売をしています。1次産業、2次産業、3次産業をすべて経営の柱として行う6次産業のリーディングカンパニーとして、メディアで紹介されたり、数々の表彰や認定をいただいたりもしました。

しかし、当社はもともと6次産業を目指して事業をスタートさせたわけではありませんでした。みかんの生産は天候で左右されます。2001~02年は悪天によりみかんの生産が低迷し、03年は皮が傷だらけのみかんが大量に出ました。

皮がわずかに傷ついているだけで、中身の味は濃厚で甘みがあります。そこで知り合いの搾汁工場で400本だけ果汁をしぼってもらい、1本1000円で限定販売を試みました。すると、「高価だけどその分おいしい」という評判をいただき、翌年の04年に本格的に加工事業をスタートさせました。

前社長である会長とともに新商品を次々と開発

初年度はジュースだけの販売でしたが、翌年以降は毎年商品を増やしています。みかんのジュレやジャム、ポン酢、まるごとみかんの瓶詰、粉末にしたみかんの皮など、余すところなく加工し、最近では自転車愛好家とコラボしたサイクリング用補給食のゼリー飲料や、龍谷大学とコラボレーションした化粧品を開発するなど、商品の幅を広げています。

弊社では商品開発の部署はありません。龍谷大学とのコラボは私が担当しましたが、ほぼすべての加工品の調合は、前社長である会長が開発しています。順調に事業は拡大していますが、実際は多くの課題を感じています。加工品を作っても、営業の人数が足りません。営業に人員投入し販売すれば、商品が足らなくなり、新しい加工場を作りました。

すると今度は、1日にたくさんのジュースができるので、営業と販売に力を入れないといけません。そして売れると出荷と生産が間に合わなくなり、資本を投資し、いつまでも経費がかかっている状態です。こうしたボトルネックを解決することも、私の役割です。













自分の使命は、次世代へバトンをつなぐこと

社長就任時、知事より「100億円企業を目指しなさい」と言われてびっくりしましたが、「100億円企業を目指すためには、100年続く企業になるくらいでないと」と考え、まずは100年企業を目指すことにしました。先代社長の情熱にはかないませんが、総務畑でも長年働いてきた私なりの強みがあります。

自分の使命は、中継ぎ経営者として会社を100年継続させ、次代につなぐことだと考えています。そのためには、有田みかんをいろんな形に変えて収益をあげることが一番だと考えています。加工することで、生のみかんよりも高く販売できる可能性もあります。

現在、全国のみかん農家は収入が安定せず、栽培を継続するのが難しい時代です。当社は一般的な加工業者よりも高値でみかんを買うことで、農家が継続的にみかんを作るための一助になりたいと考えています。また、地元で就職したい学生がいても和歌山にはなかなか就職口がありませんが、わが社では新入社員を積極的に採用しています。

5年前の就職フェアでは予想以上の学生がブースに来てくれ、弊社では異例の5人を採用したところ、既存社員も活気づき、会社の雰囲気がガラリと変わりました。それ以降、毎年3~4名の新卒を採用しています。人材育成では弱点の克服よりも、やりたいことを伸ばす方針に舵を切りました。新人も気軽に提案できるよう、「秋バー」という社内飲み会を月1回開催し、また社員旅行などで社員同士のコミュニケーションを図るなど、職場の人間関係を良好に保つよう心がけています。

また、栽培技術の継承や規模拡大を進めるため、生産部にICTを導入しデータベース化を進めました。農業では長年の経験がものをいうため継承が困難な分野でもありますが、データを分析することで、新人や若手でも適期作業ができるようになりました。現在は、香港、中国、台湾でもみかん関連商品を販売しています。これからも、100年企業を目指せる組織作りにチャレンジしていきます。

 株式会社早和果樹園
 代表取締役社長 秋竹俊伸氏
 1975年、和歌山県生まれ。県立耐久高校卒業後、
 静岡でみかん農法について学び、1996年入社。
 2017年代表取締役社長に就任。
 6次産業化によるみかんビジネスは、
 『アグリビジネス進化論』(プレジデント社)にも
 掲載された。















Company Profile
住所 和歌山県有田市宮原町新町275-1
TEL 0737-88-7279
創業 1979年
設立 2000年
資本金 9997万円(2018年4月)
売上高 9億3600万円(2018年6月)
従業員数 60名
http://sowakajuen.com

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