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サービス・IT × イノベーションによる成長 マンガのネット配信事業で成長
地道に苦労するほど 後々〝強み〟へと変わる

株式会社ビーグリー

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出版不況が叫ばれて久しいなか、マンガ配信で急成長を続けているのが株式会社ビーグリーだ。マンガというコンテンツとITを融合させ、出版界に新たなビジネスモデルを作り上げてみせた同社。このビジネスに取り組む過程で何を学んだのか。代表取締役社長の吉田仁平氏にうかがった。

ユーザーが望むマンガをネットで配信するビジネス

スマートフォンやタブレット向けに、マンガ配信を行う株式会社ビーグリー。同社が運営するサイト「まんが王国」では常時5万タイトルものコミックを扱い、累計販売数は7億冊を数えている。出版社や作家とのライセンス契約は1800件を超え、2016年には売上83億円、営業利益7億8700万円を計上。17年3月にはマザーズ上場を果たした。

私たちは「まんが王国」というサイトを通して、ユーザーにマンガを配信しています。利用料金は月額300円からで、ユーザーは好きなマンガをダウンロード(購入)して読むことができます。ユーザーは20?40歳代の女性が中心です。販売されたマンガに対しては、1ダウンロードごとに、作家や出版社とのライセンス契約で設定された既定の額を、当社が支払うという仕組みです。

当社では、この事業をいわゆるガラケーの時代から取り組んでいますが、スマートフォンの普及も大きな追い風となりました。その後、急速な成長を遂げ、現在の月間のアクティブユーザー数(MAU)は800万人を数えるほどになりました。


同社のビジネスの柱である
電子コミック配信サービス
「まんが王国」



紙とネットでは、読者・ユーザーに届ける方法論も考え方も違います。紙の場合、書店の広いスペースにマンガを大量に並べることで、強い訴求力やブランディングの効果を発揮するため、有名な作品や人気作品を大量に販売するのに適しています。

しかし、店頭に並べられるマンガの点数には限りがあり、その点、ネットでは多種のコンテンツを掲載することが可能です。多様な趣味・嗜好を持つユーザーに、それぞれのニーズにあった作品を少量ずつでも提供できるというのがネット配信の特長です。

近年、マンガ配信市場が拡大するなかで競合サービスも増えてきましたが、より多くの作品とユーザーを獲得し、適切なプロモーションによって両者をマッチングすることがこのビジネスにおいては重要です。そのためには作家や作品のことと、ユーザーのことをよく知っているほうが有利です。双方に直接アプローチできる体制を構築してきたことが当社の強みとなっています。

出版社、電子書籍の取次店、電子ファイル制作会社、オンライン広告代理店、電子書店など、この業界では、複数の関連事業者が水平分業的に提携し合っているのが一般的です。しかし当社はその大部分を自前で行っています。作家や出版社とも直接ライセンス契約を結んでいますし、外部のネット広告代理店を通さずに自前でプロモーション業務を行う場合もあります。

だからこそ、作家の作品性や傾向、ユーザーの細かいニーズを知ることができ、その結果、個々のユーザーが自分が本当に読みたいと思うマンガを効果的に提供できる。そういう仕組みを当社は構築してきたのです。

























知名度がないスタート時期は地道な実績づくりに励む

同社が現在のような体制を構築し“強み”を獲得するまでの道のりは、決して簡単なものではなかった。携帯でマンガを読む習慣もない時代にスタートした事業を通して、吉田氏は地道な活動の持つ意味を学んだという。

競合サイトの多くが水平分業でネット配信しているのに、なぜ当社が自前で行っているかというと、そうせざるをえなかった事情があります。この事業に比較的早い時期に参入したこともあり周りに手本がなく、失敗を繰り返しながらも自分たちで仕組みをつくっていくしかありませんでした。

最も苦労したのはライセンス契約です。とくに事業開始当時は、知名度も信頼もない状態。出版社に何度も足を運び説明しましたが、当時は出版社にしても、電子媒体に興味はあるが、「電子コミックが出ると、紙のマンガが売れなくなる」といったネガティブな反応が強くありました。マンガ大手と言われる、ある出版社と最初に契約を結ぶのにも3年を要しました。

10年前は出版社との契約が難航していたこともあり、作家個人との契約に踏み切りました。連絡の取れる作家さんに片っ端からアポイントを取って面談。来る日も来る日も、ネット配信のメリットを説明し、「試しに携帯で配信してみませんか」と提案して回りました。出版社との版権の問題が発生しない範囲で、直接作家さんとのライセンス契約を1件1件積み重ねていきました。
また、出版社との契約も1件1件の積み重ねです。

預かった作品は、「売上実績」という結果を出さなければなりません。一つひとつ吟味してどのような形で、ユーザーに届けるのがよいかを自分たちで考えていきました。やはり手本がなかったので、販促部門のスタッフが、マンガのジャンル特性と近いウェブ媒体を探しては出稿するということを繰り返し、無料で読めるキャンペーンなどを打ち出しながらユーザー獲得を進めていきました。

こうした活動はすべて地道で手間がかかります。しかし、だからこそ実績がストックされていけばいくほど他社が簡単に真似できない強みになる。事業の成長に近道はありません。そのことを学びました。ビジネスのコアになる部分は外注せずに自分たちでつくっていくべきだという元々の方針もあり、それを実践し、証明してきたプロセスだったとも言えます。

困難に直面しても諦めず、継続する原動力

今や上場を果たし、成長軌道に乗っている同社だが、過去には何度も困難に直面したという。そうしたなかで、地道な活動を続けられた原動力とは何だったのか。

マンガ市場は10年間ずっと成長してきたわけではありません。踊り場も、新規事業の失敗もありました。そうしたなかで、地道にマンガ配信事業を続けられたのは、よい意味での危機感が、私自身を含め社員たちの間で共有されていたからだと思います。当社のような独立系の企業はこの事業で失敗すれば終わり。何としてもやり遂げなければならないという思いが強くありましたし、今もあります。

また、厳しい状況のなかでも、社内のみんなが誠実にマンガを読み込んでいたことにも支えられました。今もですが、当社の社員は本当によくマンガを読みます。埋もれている良作を発見し、少しでも多くのユーザーに読んでもらうことは、何にも増して喜び。「まんが王国」の果たすべき役割の一つです。

マンガは日本が誇るべき文化。そのコンテンツを今までにない方法で、広くユーザーにお届けすることに、社内のみんなが誇りをもっています。ビジネスモデルももちろん重要です。しかし、それだけでは不十分で、現場で実行する人の思いの強さが事業成功には欠かせない。このことを実感できたことも大きな収穫でした。


吉田氏の学びのポイント
●地道で手間をかけるほど他社が簡単に真似できない “強み” になる
●コアな業務ほど自前主義で取り組む
●社員の誠実さが苦境を乗り越える原動力になる

株式会社ビーグリー
代表取締役社長
吉田仁平氏

1971年生まれ。早稲田大学理工学部卒。
1994年日商岩井(現双日)入社。2006
年モーラネット社長。07年ビービーエムエ
フ(現ビーグリー)入社。執行役員、取締役
などを経て、13年3月から現職。




Company Profile
株式会社ビーグリー
創立 2004年10月
住所 東京都港区北青山2-13-5 青山サンクレストビル4F
TEL 03-6706-4000
資本金 18億4349万円
売上高 83億円
従業員数 70人(単体)
https://www.beaglee.com/

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