3分で読める「現場を変えた社長の一工夫」

ビジネスサミットOnline » 現場を変えた社長のひと工夫 » 顧客視点の徹底で 相談者数全国1位へ

その他 × イノベーションによる成長 福岡県よろず支援拠点の戦略
顧客視点の徹底で 相談者数全国1位へ

公益財団・福岡県中小 企業振興センター

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2014年、中小企業庁により無料経営相談窓口「よろず支援拠点」が全都道府県に開設された。 その中で、圧倒的な相談数で注目を集める、福岡県よろず支援拠点(公益財団・福岡県中小 企業振興センター)の活動をレポートする。

全国 43位からのスタート 立て直しを図る

2014年、中小企業庁により無料経営相談窓口「よろず支援拠点」が全都道府県に開設された。その中で、福岡県よろず支援拠点(公益財団・福岡県中小企業振興センター)は、ひときわ異彩を放つ組織として注目を集めている。

その理由は、他のよろず支援拠点と比較して、来訪相談者数が圧倒的に多いことにある。2年連続で全国1位、16年度で言えば、その数1万1085人(グラフ参照)。2位の岡山県の2倍近い数値を上げているのだ。










福岡県よろず支援拠点が現在のような成果をあげるようになったのは15年度から。月別で見た場合、15年8月に初めて全国1位の相談者数を獲得し、以後、現在まで不動の1位を誇っている。しかし、実は、初年度の14年度の実績はなんと全国で43位だったのだ。

相談者から圧倒的な支持を受けるようになった理由は、公的支援機関でありながら民間企業出身者の能力を最大限活かしてきたことにある。福岡県中小企業振興センターは、15年度よりベンチャーの上場支援やM&A業務などのキャリアを持つ佐野賢一郎氏をチーフコーディネーターに迎え、相談者数全国一位を目標に数々の改善に取り組んできた。

就任の際、佐野氏は次のような戦略を立てたという。

「どうすれば中小企業の経営者の皆さんが相談しに来てくれるのか? それをシンプルに突き詰めた結果、質の高い相談員たちによるセミナーに活路があると考えました」。

少人数制のセミナーが来訪相談者を増やす

現在、福岡県よろず支援拠点には、相談員である専門家スタッフが非常勤を含め30名いる。その専門性もバラエティに富んでいる。中小企業診断士や司法書士など士業ももちろん在籍しているが、元大手デパートの販売員や、元量販店のバイヤー、現役テレビディレクター、現役飲食店経営者、グルメライターなど、相談員各人の経歴もとてもユニークなのだ。より実践的なアドバイスを行えるような人物を揃えていったという。特徴的なのは、さまざまな専門性を持つ彼ら相談員が講師を務める無料セミナーだ。

「マスコミを呼び寄せるプレスリリース作成セミナー」
「売上アップのためのline@活用法セミナー」
「1年に1000店食べ歩いたグルメライターが語る『人気の出る飲食店の仕掛け作り』セミナー」
など、より具体的なテーマが、現在80タイトルほどあるという。

「従来のよろず支援拠点は、”売上拡大””創業”などに関してなんでも相談してくださいというスタンスでした。しかしそのような言い方では曖昧すぎて伝わりにくい。より身近で具体的なテーマを提示することで、お客様も自分自身の課題に気づいてもらえるし、そのセミナーに行ってみようという気にもなります」(佐野氏)。

こうしたセミナーは月に約100回、開催されている。量としても多いが、もう一つ特徴的なのが、定員5名と少人数制を徹底していることだ。5名以下なら、セミナー講師と受講者の距離が近い。講義の中で一人ひとりの具体的な悩みを聞いて、その場で答えることもできる。そこで講師の能力と人柄を評価してもらい、関係性を築けると、その後、受講者が個別相談に来てくれる確率が高まる。

「有名な方を招いて100人規模のセミナーを企画するというのは、認知度を高めるという意味では効率がよいものでしょう。しかし、セミナーだけで終わり、その後の個別相談に来訪されない方が多くなります。私たちの目標は個別相談で相談者の目標を実現させること。だからこそセミナーは少人数にして、その代わり開催回数を多くしているのです」(同)。

民間発想による運営と「顧客視点」の徹底

より多くの相談者に来てもらうため、稼働時間や場所を増やすことにも取り組んでいる。県内各地に存在する相談希望者の利便性を考慮し、県内各地域の市役所や商工会議所と連携を促進。これまでに22カ所の相談窓口を設け、日時を決めて相談員を派遣している。

また、博多区の本部では土日も営業し、相談者の利便性を高めた。こうした取り組みの背景には、福岡県中小企業振興センターの「顧客視点の徹底」があり、それは佐野氏をはじめ相談員たちの多くが民間企業出身者であることも影響しているのだろう。行政の組織でありながら民間の発想で相談に乗ってくれる。

特徴的なセミナー戦略もさることながら、相談者が増え続ける最大の要因は、民間企業のマインドを持った相談員たちによる日々の親身なアドバイス、そしてそれによって個々の相談者たちとの間に築いてきた信頼関係にあるのではないだろうか。


福岡県よろず支援拠点
チーフコーディネーター
佐野賢一郎氏

90年京都大学卒業。同年太陽神戸三井銀行(現三井住友銀行)入行。外国為替・融資・営業・システム開発などを経て、グループ会社SMBCキャピタル(現SMBCベンチャーキャピタル)に社内公募に応募し出向、ベンチャー企業への投資・成長支援を行う。05年、SMBCキャピタルを退職。健康コーポレーション株式会社(現RIZAPグループ株式会社)の取締役に就任。同社の成長支援・内部管理体制の構築・上場・M&A等を行う。
07年、健康コーポレーションのグループ企業株式会社弘乳舎の社長に就任。13年10月、M&A仲介と経営コンサルティングを行う株式会社ベア・ホールディングス設立、代表取締役就任。
15年4月、福岡県よろず支援拠点チーフチーフコーディネーターに就任。現在に至る。

Organization Profile
福岡県中小企業振興センター
福岡県よろず支援拠点
福岡県福岡市博多区吉塚本町9-15
福岡県中小企業振興センタービル6F
T E L092-622-7809
https://fukuoka-yorozu.jimdo.com/

記事の絞込

■業種
■カテゴリー

業種

カテゴリー