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サービス・IT × イノベーションによる成長 インスタグラムに賭けた映像制作ベンチャー
2度の失敗を糧に 3度目のビジネスに挑む

株式会社リーボ

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新たな製品やサービスを創り出し、新たな市場を 掘り起こすには多くの試行錯誤と失敗、困難が伴う。 しかし、それにあえて挑むのが起業家である。 2度の失敗を経て、3度目のビジネスに チャレンジしている株式会社リーボ(福岡市)は、 まさにそうした歩みをたどってきた企業だ。 失敗の中から成功の芽をつかんできた同社の チャレンジを、同社代表の松尾龍馬氏に伺った

カーシェアリングで起業 脚光を浴びる

新規事業を立ち上げたり起業したりする際、近年、リーン・スタートアップという手法が注目されている。時間も費用もなるべくかけず、仮説の構築、製品の実装、および軌道修正を迅速に繰り返し、素早く改良・改善を続けることで、成功に近づけていくという考え方だ。

十分な事前準備は必要だが事業初期段階で多額の費用、多大な時間を投じてしまうと、後々、取り返しのつかない大失敗となる恐れがある。それは避けなければならない。リーン・スタートアップは大失敗をしないために小さな失敗を繰り返す手法であり、最悪、事業が立ちいかなくなったとしても、小さな失敗であればやり直しがきくのだ。

株式会社リーボはまさにリーン・スタートアップの手法で起業し、失敗を繰り返した企業だ。2011年創業から6年の間に、既に2度のピボット(事業転換)を行い、現在、3度目のビジネスに挑戦しているところだ。

最初の事業は小型電気自動車のカーシェアリング。代表取締役の松尾龍馬氏は、「30歳までに何かを成し遂げたい」との思いから、前職の大手自動車メーカーの製造エンジニアとしての経験や知見を活かし、28歳の時に起業した。

「車を購入するのではなく、必要な時に借りる使い方を提唱していく」(松尾氏)というシェアリング・エコノミーの考えに、福岡市が興味を示し、同市の実証実験を受託する形で事業をスタートさせた。実験と同時進行で、2年目からは予約システムやカーシェアリングの仕組みも模索。ユーザーがスマートフォンから予約・支払い、鍵の開け閉めまでできる仕組みを開発した。

この時にはベンチャーキャピタルから2000万円の資金調達を行った。また、この頃から、松尾氏自身も時代を創る若手起業家として、マスコミから脚光を浴びる存在となっていった。だが、華々しい話題性とは裏腹に、事業そのものは順調には進まなかった。見積もりを取ったり視察に来る企業は多かったが、肝心のシステムが売れなかったのだ。

「いま考えれば、人々は電気小型自動車を必要としていなかった。時代のニーズとズレがあったのでしょう」。

資金が底をつきかける中、いつしか本来の事業とは異なる、企業向けの各種システム開発を受託するような日常となっていた。「なんとか売り上げを立てて、しのぐしかなかった」(松尾氏)からだが、「当初の目的と違う」という理由で社員の多くが離れていった。



 最初に手がけたカーシェアリングビジネスで、
 利用された超小型電気自動車



中小レンタカー市場で2度目のチャレンジ

起業から3年目の2014年6月、松尾氏はついにカーシェアリングビジネスに見切りをつけ、ピボットを決意する。試行錯誤の末に定めた新事業は、レンタカーの予約サイトシステムの開発・運営だった。

「カーシェアリング事業の際に開発したシステムを応用できるうえ、調査した結果、潜在的なニーズがあると考えたのです」。

レンタカー市場は約5000億円と言われており、そのうちの4割ほどは中小企業。そして、世の中に中小レンタカー会社の予約サイトが存在しなかったことも未知なる可能性を感じさせるものだった。

ただし、予約サイトによる販売手数料だけでは、収益性が不不安定となることが予測された。そこで予約サイトに並行して中小レンタカー会社向けの業務管理システムを開発。予約サイトに加盟してもらいつつ、収益の柱となる業務管理システムを販売するという戦略を立てた。

新たなビジネスプランは投資家に好意的に受け入れられ、15年2月、再びベンチャー・キャピタルから資金調達し、2度目の挑戦が始まった。松尾氏が福岡市内の中小レンタカー会社に回って予約サイトを紹介したところ、ほとんどが興味を示してくれた。すぐに約20社が加盟、約400台のレンタカーを確保。勢いを得、全国展開した結果、ピーク時には200社以上、8000台以上を確保するに至った。

「ところが収益の柱と想定した業務管理システムがなかなか売れませんでした。お試しの無料版を体験してもらっても有料版には切り替えてもらえない。収益化の難しさを痛感しました」。と同氏は振り返る。

映像制作・配信事業で3度目の挑戦

再び財務状況が悪化する中、松尾氏が可能性を賭けたのがインスタグラムの運営代行のビジネスだった。そのきっかけは、同社がレンタカーの予約システムの認知度向上を目的に展開していたウェブサイト「キテネ」にあった。

「キテネ」は観光客がレンタカーを使って訪れたくなるような名所やスポットなどについて、地元からの声を集めるためにインスタグラムを活用。ハッシュタグを付けて投稿してくれた写真を定期的にキテネで紹介するという形式。そこからレンタカー予約サイトへと誘導するのが目的であり、そこで利益を得ようと最は考えていなかった。

ところが、そのうちいくつかの企業などから「料金を払うからインスタグラムの運営を行ってほしい」という個別の依頼が舞い込むようになり、松尾氏はこの事業がビジネスになり得ると直感したという。

「自社でインスタグラムを運営していくなかで、インスタグラマーと呼ばれるフォロワーの多い人たちとの繋がりや、どうすればフォロワーや『ライク』が増えるかというノウハウが身についていったのです」。

インスタグラムとは、10年に登場した比較的新しいSNSで、現在、世界で5億人以上のユーザーが利用していると言われている。他のSNSより、映像コンテンツの比重が高いのが特徴で、ここで効果的なPRをしようとすれば、インスタグラムに適した映像コンテンツの作り方や配信方法などのノウハウが必要になる。

同社はそうしたノウハウを蓄積してきた。さらに15年10月、企業広告が解禁されたことから、多くの企業・団体がインスタグラムを活用したプロモーションに乗り出すことが予測された。15年末、「キテネ」を含めたレンタカー会社向け事業を他社に委託した同社は、新たに映像制作事業に一本化、再度、事業転換を図る。

独自に作成した福岡市の観光PR動画が評判を呼び、16年の3月には、福岡市によるインスタグラムの運営事業者の公募(コンペ)を勝ち取った。「インスタグラムでプロモーションをするならリーボ」という評価が高まった。

その後、自治体の観光PR動画や企業の製品プロモーションなどの問い合わせが相次ぎ、現在も松尾氏自身、全国各地に撮影に飛び回っている状態だ。単発の映像制作だけでなく、インスタグラムの企業アカウント運用を丸ごと委託する案件も年間数十件を数え、継続的かつ安定した売り上げを立てられるようにもなった。














インスタグラムに適した映像コンテンツの作り方や配信方法などの
ノウハウを武器に、自治体や企業のPR動画や写真を制作している

諦めなければ会社は終わらない

「これまでの事業と違うのは、制作した映像をたくさんの視聴者から評価してくれたり、お客様が実際に喜んでくれている姿が見えることです。自分たちの仕事が喜ばれているという実感があります」。

写真や動画といったビジュアルコンテンツは言葉以上のものを伝え得る。直感的に伝わるという点で世界共通語とも言える。将来的には世界を相手にすることも見据えている。リーン・スタートアップを意識したわけではないという松尾氏だが、結果として、同社は2度の失敗の中から次の事業の芽を見つけ出し、それによって現在の事業にたどり着いたと言えるだろう。その根底には一貫して「諦めない」という思いがあったという。

「中小企業は経営者が諦めた瞬間に会社がなくなってしまいます。諦めなければ会社が終わることはない。なりふり構わずやらなければならない時期もありましたが、諦めなかったからこそ、今があります」。

変化を怖れず、決して諦めない。松尾氏のこの姿勢は、新規事業に取り組んでいる多くの中小企業にとって、大きなヒントになるのではないだろうか。


















リーボのウェブサイト












FUKUOKA growth next内のオフィス




株式会社リーボ
代表取締役社長松尾龍馬氏

1982年生、北九州市出身。
2007年大手自動車メーカーに製造エンジニアとして入社し、
2011年に独立し、株式会社リーボ設立。複数の事業を立ち上げ、
2015年よりビジュアルクリエイション事業開始。
インスタグラムの運営代行を中心に、写真・動画で企業
や自治体の商品・サービスの魅力を紹介する。
自身もチーフクリエイティブ・ディレクター兼
フォトグラファー/ビデオグラファーとして制作を行う。





CompanyProfile
株式会社リーボ
福岡県福岡市中央区大名2丁目
6-11(FUKUOKA growthnext 内)
設立 2011年
TEL 092-515-1008
資本金 9330万円
従業員数 4人
http://reevo.jp/

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