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製造 × 強い組織づくり 「飛ばさない」技術力を結集
完全吸引式にこだわる ハンドドライヤーづくり

株式会社タイズ

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水滴を飛ばさない技術力を結集し、吸引式の 水滴飛散防止ハンドドライヤーづくりにこだわる ベンチャー企業の使命感に迫る

吹き飛ばし式から吸引式へ

「従来のハンドドライヤーは手洗い後の水滴を高圧のエアーで吹き飛ばしているが、これが異物混入や二次感染源になる可能性があるため、衛生管理の観点から問題があるのです」。こう切り出すのは、吸引式ハンドドライヤーを製造販売するタイズ(東京都中央区)の代表取締役・瓜澤進氏だ。手洗い後の手指を乾かすハンドドライヤー(高速風式手指用乾燥機)は、高速の風で手指の水滴を吹き飛ばし、乾燥する方式が広く普及している。

だが、吹き飛ばし式は、高速風により手指の水滴を飛ばして乾燥させるため、水滴が飛散し、水滴と一緒に菌や汚水を周囲に吹き飛ばし、髪、顔、衣服に付着させる恐れがある。このため、クリーンな衛生管理が求められる食品工場や病院、研究施設などでは、水滴が飛散しない吸引式の飛沫飛散防止型ハンドドライヤーが必要とされている。1997年から吸引式ハンドドライヤーを製造販売しているタイズは、業務用のSampnay(サンプナイ)と、今年3月より一般用のCreana(クレナ)を販売。2系統の吸引式ハンドドライヤーを手がけ、市場の革新に取り組んでいる。


サンプナイの設置例




はじまりは微生物実験から

横浜市立大学医学部が微生物の実験を行っていた際に、空気中や衣服、手指に微生物が付着する対策として、汚水を飛散させずに手指を確実に乾燥させる乾燥機の開発が始まった。そして、2年の歳月をかけて2台の試作機を完成させ、97年に量産1号機を国立感染症研究所に納品した。これが吸引式ハンドドライヤーの始まりだった。商品名は〝水滴が散布しない?という意味から、Sampnay(サンプナイ)と命名した。

その後サンプナイは、自動クリーニング機能を搭載し、本体内部を90℃の温風で完全乾燥させて清潔に保つ完全吸引循環式のスリムタイプ(2008年)、手洗いシンクと水道蛇口、消毒液ノズル、鏡、ハンドドライヤーが一体になった手洗いシンク一体型(09年)、手洗いから乾燥まで1台で対応できる全自動タイプ(13年)、全自動手洗い機能搭載の廉価版タイプ(13年)などが商品化され、水滴を飛ばさない完全吸引循環式ハンドドライヤーの地歩を固めてきた。


サンプナイの使用例




飛沫飛散を防止し衛生的に

タイズの吸引式ハンドドライヤー・サンプナイには、次の5つの特徴がある。
①汚水や飛沫が飛散せずに吸引される、
②微生物99・9%をHEPAフィルターで除去し、エアーは無菌、
③乾燥室及びダクト内部乾燥システムにより、乾燥室、ダクト内は綺麗に保たれる、
④ノズルから指先爪部、指、指の股部にエアーをあてることで確実に乾燥、
⑤誰もが簡単に使用できる。

「これにより、サンプナイはハンドドライヤーの飛沫飛散リスクを解消、理想の手指乾燥を実現した。この結果、食品、医薬品、半導体などの工場や病院、介護施設、給食センターなど衛生を重視する場所に累計で1000台を超える納入実績をあげ、業務用吸引式ハンドドライヤーの定番になっている」(瓜澤進氏)という。



食品工場などの衛生環境改善に威力を発揮する





伝染病の拡大防止のため業務用から一般用に展開

15年、タイズは一般用のハンドドライヤーであるクレナを商品化、発売した。これは、国立感染症研究所をはじめとした衛生のプロの要求に応えて開発した、業務用ハンドドライヤー・サンプナイのプロスペックを継承し一般向けにしたものだ。クレナはサンプナイシリーズと同様、微生物・粒子捕集率999・97%以上のHEPAフィルターを搭載し、無菌エアーと強力なツインモーターによる速乾力を実現している。また、高い衛生管理環境をもたらす機能が評価され、東京都中小企業振興公社の先進的防災技術実用化支援事業において、災害時での被害拡大防止対象製品に認定されている。

東京都福祉保健局は10年、吹き飛ばし式のハンドドライヤーに関して、水滴の飛散について注意喚起を促している。東京都福祉保健による吹き飛ばし式ハンドドライヤーの飛散調査実験で約1メートル四方の飛散が確認されたためだ。不特定多数が使用する公衆衛生の現場では、飛散した水滴からインフルエンザウィルスなどの二次感染による被害拡大の危険性が指摘されている。東京都の注意喚起はこうした懸念を踏まえたものである。




一般用の吸引式ハンドドライヤー・クレナ









20年の東京五輪に向け最高の手指乾燥技術を極める

これまでのハンドドライヤーのほとんどが、内部に蓄積した使用者の汚水、雑菌、ウィルスなどがドライヤーの風圧で周囲に飛散・拡散し、ノロウィルスやインフルエンザなどの感染拡大の一因になる可能性をはらんでいる。日本環境感染学会でも吹き飛ばし式ハンドドライヤーは、細菌汚染の温床になる可能性があると注意を喚起している。こうしたなか、タイズの吸引式ハンドドライヤーは、汚水をしっかり吸収し、外部への飛沫飛散を防止する。これにより、公衆衛生現場の衛生環境を改善し、ジェットリサイクルエアー(HEPAフィルターとオゾンによる空気浄化)で、常にクリーンで正確な手洗いと手指乾燥が行えるようになる。

完全吸収式に徹底的にこだわり、一般用ハンドドライヤー市場でも安全・安心な手指乾燥システムづくりを目指す同社は、2020年の東京オリンピックを見据えて、クレナの拡販に拍車をかける。「クレナは今年の3月から、1000台体制に生産を拡大し、20年の東京オリンピックに向けて拡販する取り組みをスタートし、海外マーケットの開拓も進めていきます」と語る瓜澤氏。今年は、クレナとサンプナイの吸引式ハンドドライヤーで、世界最高水準の手指乾燥システムづくりに挑む同社の真価が問われる1年になりそうだ。


株式会社タイズ 代表取締役 瓜澤 進氏
「吸引式ハンドドライヤーで、世界最高水準の手指乾燥システムをつくって
いきます」







Company Profile
株式会社タイズ
設 立 2007年6月
資本金 1400万円
売上高 1億2000万円(平成27年度)
従業員 8名(パート4名を含む)
東京都中央区八丁堀4-14-7
03-3537-7715
http://www.ties-net.co.jp/

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