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小売・流通 × イノベーションによる成長 革新的なフットケア商品を提供する
「喜びたい」というニーズに応える商品の開発

株式会社リベルタ

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薬事法改正で販売継続さえ危ぶまれた水虫ケア商品が、女性用フットケア商品とし て見事な復活を遂げ、 世界各国の美容賞も受賞するベストセラー商品に。 佐藤透社長が率いる株式会社リベルタの、柔軟な発想や 海外市場への果敢な挑戦 に、日本の中小企業が採るべき明日への戦略を学ぶ。

「水虫用」からの転換でがけっぷちから復活

『ベビーフット』というフットケア商品をご存じだろうか。
ジェルが入った靴下型の透明ビニールに約1時間足を浸しておくと、数日後にかかとなどの古い角質がポロポロとむけ始め、約1週間で足裏全体が脱皮したかのようなすべすべの素足が現れるというもの。エステサロンなどで古い角質を除去するためにフルーツ酸などを肌に塗布する「ピーリング」を、自分で素足に使えるようにした商品で、今では世界53カ国で発売されている。

この商品を開発・販売するのが、株式会社リベルタ(東京都渋谷区)だ。2005年の発売以来1290万個を売り上げた大ヒット商品だが、当初から爆発的に売れたわけではない。そもそも最初は女性向け化粧品ではなく、主に「水虫に悩む男性向け」だったという。「1997年に発売した当時は今と違って構造が複雑で7800円と高額でしたが、2年間で4万個は売れましたね。通販の商品としては大ヒットでした」(同社社長の佐藤透氏)。






ベビーフット イージーパック DP60(1728円)
フランスの「Victoire de la Beaute」、
米国の「CITY アワード」など、各国の美容賞を受賞




しかし薬事法の改正により化粧品は「水虫に効く」などの効能を表記できなくなった。通販会社でも扱いを打ち切られることが続く。「通販が打ち切られても、弊社への直接注文で購入してくださるリピート客もいる。品質が認められ支持されていた商品が売れなくなるという悔しさを、社員と抱えていました」。

そんななか、ある男性スタッフがぽつりと漏らしたひと言が転機となる。「角質がむけるのは事実なんだから、女性向けに美容としての角質ケアにできないだろうか」。そこで商品名も「赤ちゃんの生まれたてのような素足」のイメージで『ベビーフット』に変更。美容に敏感な女性をターゲットとして、生まれ変わらせることになった。新商品としての再生までには数年かかったが、水虫のネガティブなイメージを変えていこうと、女性社員がチームとなって奮闘した。

「前の商品は木酢液を使っていたため、においも刺激も強かったので、化粧品会社と共同研究を行い、フルーツ酸を使うことにしました。類似品がなく我々がリードする商品だからこそ、成分の安全性はあらゆる面から研究しました」。


ブログやSNSの発展に乗ってブレイク

こうして女性向けのフットケア商品として生まれ変わった『ベビーフット』を、08年にギフトショーに出展。足裏の皮がむけた写真を投稿してもらうネット上のコンテストも実施した。翌年は「足裏キレイにし隊」と命名されたマーケティングチームの女性スタッフたちが、皮がむけたと喜んで書き込みしてくれる人を検索しては「おめでとうございます」というフォローメッセージを地道にコツコツ
送っていた。「メーカーからそんなメッセージが来るのが意外だったようで喜ばれ、お客様が一所懸命口コミしてくれました」。

同社の草の根プロモーションがブログやSNSの発展とマッチした点も大きいと佐藤氏は振り返る。「ツイッターなどSNSがどんどん出てきた時代。ベビーフットは化粧品なのに驚くような衝撃体験ができ、人に言ったり発信したりしたくなる。人によってむけ方も違い、話が盛り上がる。足をきれいにするのが商品の目的ですが、その手段自体の楽しさも魅力。そこをもっとアピールしようというのが最初のプロモーションでした」


言葉でなくても商品の効果や面白さが伝わる、このエンターテインメント性が海外でも売れた理由のようだ。「一番売れているアメリカでも、ワイドショーで『使ってみたら面白かった』と出演者が熱く語ってくれた。それで全米Amazonの美容カテゴリーでも1位を獲得したのです」。





女性スタッフで構成された「足の裏キレイにし隊」メンバー

画像左から足裏の使用前・使用中・使用後。
角質が広範囲にむけた様子を同社では「ズルむけ」と表現し
きれいにむけた人に「ズルむけコンテスト」への応募を呼びかけている



「中小企業は海外で3年がんばってほしい」

今ではベビーフット等の商品を世界53カ国で販売する同社だが、08年当時は海外販路の開拓のノウハウは皆無だったという。「最初はできなくても、絶対できるようになる。人には教われません。大手商社のノウハウは中小企業では役立たないし、どう販路を構築するかは、自分たちで試行錯誤するしかない。少子高齢化が確実な日本の市場は下火になっていくしかない。ボーダーレスに海外も見ていかないと立ち行かなくなる。小さい企業が海外の流通網を作るのは時間がかかる。何年かかってもコツコツやっていかないと」。

海外にチャレンジする日本の中小企業が少ないのは残念だと佐藤氏は語る。「日本人みたいにていねいに礼儀正しくではなく、英語でアグレッシブに言ってこられると、即断即決できる交渉術がない。投資の怖さもある。でもその怖さを克服しないと。3年やれば何か見えてきますよ」。




国際見本市での展示ブース





「シニア」「男性」向けなど伸び代はまだまだある

ベビーフットのブーム後には、別のヒット商品が必要ではとの問いに、佐藤氏はこう答える。
「角質で悩んでいるのは実は60~70代。足の角質は美容の他に、ひび割れて痛いなど健康面でも問題なのです。しかしシニアが多い街でリサーチすると、ベビーフットの認知度はまだまだゼロに近い」。その一方で介護現場での利用例もあるという。

「人工透析クリニックの看護師さんが、たまたまベビーフットの利用者でした。透析患者は末端の感覚が鈍く、足に角質がたまってひび割れても気付きにくいのですが、傷口が化膿すると足の壊死などの危険もあり、フットケアは医学的にも大きな関心事です。その看護師さんが『2~3時間の透析の間に、患者さんにベビーフットを履いてもらえば』と提案し、医師が実践の結果を学会で報告したそうです」。

さらに、新商品の男性用の販売額も急伸している。「この秋に約4万個作り、売り上げは好調。彼女や奥さんを見て『自分もやりたい』という、美容感度が高い男性が増えています」。海外、高齢者、男性など、視野を広げれば伸び代はまだまだ大きい。同社による快進撃は今後も続きそうだ。



今年秋に新発売された男性用ベビーフット。
茶エキスや柿タンニンなど、におい対策成分をより多く配合


株式会社リベルタ 代表取締役 佐藤 透氏
「海外提携先として選ぶのは、自分たちの商品を
『これはいい!これを売りたい!』と情熱的に思ってくれる、
熱の高い相手。そういう人とつながりたいですね」









Company Profile
株式会社リベルタ
設立 1997年
資本金 1307.5万円
売上高 30億円
従業員数 63人
東京都渋谷区桜丘町26-1セルリアンタワー5階
03-5489-7670
https://liberta-j.co.jp/

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