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製造 × 強い組織づくり 包材でモノの価値を伝えるお手伝い
想いを包み未来を創造するパートナーを目指す

株式会社吉村

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日本茶の包装に強みを持つ食品包装資材メーカーの株式会社吉村(東京都品川区)。経営理念に「想いを包み、未来を創造するパートナー」を掲げ、挑戦と失敗を経て成長するために、全社員が作業ではなく、仕事に生きがいを見い出す全員参加経営で革新的な製品開発とサービスの創造に取り組んでいる。

「日本茶需要創造」に挑む
 
昭和7年(1932年)に紙茶袋の手加工からスタートした同社は、日本茶を中心とする食品包装資材を企画、製造、販売するパッケージメーカーとして、「日本茶需要創造」を合言葉に革新的な市場創造型の製品開発や顧客マーケティング支援のサービスを展開している。

売り上げの95%が緑茶に関連する製品という同社は、消費者の声から既製品やカタログを作り、お客様の反応を内覧会・展示会やアンケート、消費者座談会、消費者実態調査などで顧客のニーズを吸い上げ、改善につなげるPDCAサイクルをハイスピードで回すことで、日本茶需要創造に取り組んでいる。

なかでも、消費者座談会は2時間5000円で消費者モニターに集まってもらい、実際に売られている自社商品とライバル商品を手にとって比較、評価してもらったり、お茶の売り場づくりや売り方の意見を聴取するなど、消費者の生の声を聞く機会として1995年から継続して実施している。

こうした顧客マーケティングの成果として、30〜50グラム入りのミディアムパック商品や水出しのお茶をガラス製ワインボトル型茶器に入れて提供する「フィルターインボトル」など、斬新な商品開発につなげている。
 

ガラス製ワインボトル型茶器
「フィルターインボトル」












エスプリ印刷で小ロット生産に対応
 
茶のパッケージは、図柄をグラビア印刷したフィルムをアルミ泊に貼り付けるラミネート加工を施し、ラミネート後のフィルムを断裁し、製袋、刷込加工してできあがる。そのフィルム印刷工程において、同社は2008年6月に多品種少量生産に対応できるヒューレット・パッカード社のデジタル印刷システムを導入し、小ロット適量生産の体制を整えた。

お茶パッケージ








この印刷機は、スピード、スマート、スペシャルの頭文字「エス」にプリントの「プリ」をとって『エスプリ』(商標登録済み)と名付けた。橋本久美子社長は「デジタル印刷から製袋までの生産システムは小ロット対応、製版代ゼロ、小ロット多品種でさらにお得なシステムです。例えば、一辺110ミリ四方の手のひらサイズの飲みきり袋など、エスプリから生まれた新商品・サービスも多々あります」と語る。

静岡県焼津市にある総合工場には、グラビア印刷とデジタル印刷の工場があり、デジタル印刷のエスプリ工場は、フィルムの巻取りからスリッター加工、印刷、ラミネート、製袋、刷込まで全工程をクリーンルーム内で行っている。エスプリ印刷が製品の品質向上と競争力を高めている。
 
クリーンルーム内でのデジタル印刷エスプリ工程







全員参加の目標管理と動機づけ
 
「想いを包み、未来を創造するパートナーを目指します」とする経営理念を実現する行動指針として、同社は以下の3つを掲げている。

1.私たちは、パッケージを通してキラリと光る未来を創ります。
2.私たちは、商品への想いが伝わる舞台を造ります。
3.私たちは、挑戦して成長し、失敗と喜びを分かち合う仕事場を作ります。

このうち、失敗と喜びを分かち合う仕事場づくりとして、経営計画書と経営計画発表会、全員参加会議、ES(社員満足度)調査、誰でも発信できる起案制度であるノーベル起業と壁新聞、イチオシ投票、ダイバーシティなど、多種多様なな経営手法を取り入れ、実践している。

別名「相乗効果大作戦マル秘ノート」と呼ばれる経営計画書は、会社の四つの視点の目的・目標が部門から課、課から個人へと連鎖して明記され、経営計画発表会で全社のベクトルを合わせている。

「年度目標は目標会議で分かった点と分からない点を説明する。良い点、悪い点、改善点を出してもらい、改善目標を視点を変えてプレゼンして、これで行こうと全員で決めて全体目標とし、さらに落とし込んで部門の目標を立て、課の目標を決めてフィードバックして個人まで落とし込みます。これが社員全員の評価面接の材料となり、1年2回の面接での指標となります。なお、年6回の経営計画発表会は全部壁新聞で貼りだし、2ヶ月間隔で財務状況もオープンにしています。当社では純利益の2割を社員に均等還元しているので、この財務状況だと今月いくら給与が支払えるということをオープンにしています」(橋本氏)。

イチオシ投票は全社員が自分以外の社員に一票を投じる。

「あなたのこういう行動は、こういう影響があったので、こんな気持ちになった」と投票理由を書くことを推奨し、壁新聞で貼り出す。「単に良かったではなく、具体的な行動を書くことで、どういう行動をすると会社と社員が喜んでくれるかがわかるようになる。再現性に繋がり、感動が深まる」として、全員評価によるモチベーションアップ効果を説く。
 
全員参加会議






女性が活躍する働き方改革を実践
 
「ダイバーシティーに関しては、子育てしながら働く女性が13名在職しています。妊娠と同時に退社が当たり前だった2007年、社長が一切関知しないオレンジ委員会(WLB委員会)を公募し結成しました。オレンジ(利益)を労使で奪い合うのではなく、種(施策)を植えて果実をシェアする意味の命名です」(橋本氏)

このほか、「MO制度(「戻っておいで」略。配偶者の転勤、介護などの理由で退職する社員が復帰できる仕組み)」や「法定以上のつわり休暇制度(診断書不要でつわり中は期間を予告し休める)」、「末子が小学3年生まで使える育児短時間勤務制度」などが、オレンジ委員会の発案で導入され、オレンジプロジェクトとして実施している。

障害者は4名在籍し、本社に在籍する全盲の社員は入社5年目でパッケージの表記が法令に違反しないかどうかをを調査する窓口業務を担っており、女性と障害者の雇用にも積極的に取り組んでいる。

創業以来の紙業から食品包装資材メーカーへと転換してきた同社はいま、お米や6次産業の商品をパックした「和食のプラットフォーム」のようなギフト商品を企画、構想している。

「2020年の東京オリンピックに向けて、東京を訪れる観光客のみなさんが気に入って買ってくださるようなお土産品。例えば、日本のソウルフードの詰め合わせセットなどを提案できれば良いなと思います」と、橋本氏の夢は広がる。
 
橋本久美子社長
「社員の実数を知っていて全社員の名前が言えて書けること。
経営トップとして私が大切にしていることです」








CompanProfile
株式会社吉村
設 立 1954年
資本金 9100万円
売上高 51億円
従業員数 206人
東京都品川区戸越4-7-15
03-3788-6111
http://www.yoshimura-pack.co.jp

月刊ビジネスサミット2016年10月号特集より
 

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